この休日は散歩へ行きますか? それなら麻布台の「和朗フラット」を見に行くのはどうでしょう。昭和初期の自由な空気を伝えながら、80年を経た今でも現役の集合住宅です。窓やドアの変化に富んだデザインを見ると、心が和むようでもあり、はずむようでもあります。
神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布(JAARA)は歩くだけで楽しい街。目的があれば歩くのがいっそう楽しくなりますね。
※ JAARA(ジャーラ)は[神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布]の街の連なりを指す造語です。
§ 印象的な窓やドアのデザイン
大通りから坂を下って進むと、「和朗フラット」壱号館と弐号館が見えてきます。地番は麻布台3丁目3番地。
昭和11年(1935)から13年 にかけて7棟が建てられ、80余年を経て3つの棟が現存しているといいます。いずれも現役の集合住宅なのが驚きです。
参考記事:変わらぬ佇まい 和朗フラットのいま|『ザ・AZABU』No.50
(上記の記事を参考にしましたが、全部で5棟だったとの記事も複数あります)
壱号館はこんな様子。白いしっくり塗りの壁に配置された窓の形に変化があります。
壱号館と弐号館の間は中庭になっており、建物は軒屋根でつながっています。
弐号館も窓のデザインが印象的です。自由に思い描いているフォルムが、時代の空気を伝えているようです。
そこを右へ曲がると四号館があります。
木造二階建てで、各階4戸、全8戸は住居ごとに間取りや仕上げが異なるといいます。国土の歴史的景観に寄与しているとして、2019年に国の有形文化財になりました。
和朗フラット四号館 公式ホームページ (warouflat.com)
§ 和やかに朗らかに
建築主は上田文三郎さんという人で、建築の専門家ではないながら、自分で設計したとのこと。上田文三郎さんは農業研究家で建築や美術に造詣が深く、建物はアメリカのアパートメントホテルに着想を得ているそうです。
「和朗フラット」という名前は、「和やかに、朗らかに」という願いから。設計主の思いを引き継いで、水回りや空調がリノベーションされているということです。
§ 都会の喧騒の角を曲がると
この周囲は、なんとなく風情のある建物が多いような気がします。
この一角は、外苑東通りの飯倉片町の交差点から麻布通り(都道415号)を東京タワーの方へ少し行き、Chianti の角を曲がったところ。
角は曲がってみるものです。
§ 「和朗フラット」のまとめ
ふだん見慣れた大都会の街並みのかたわらに、やすらぎの空間がありました。80年前の建物が現役なのにびっくり。きょうもいい一日になりそうです。
【 JAARAで散歩】建築を見る散歩
▽現代日本の建築を見に青山通りを青山から赤坂へ
▽澄み切った空気を思い出す 大正・昭和の洋館を見に麻布へ
▽デザイナーズマンションの先駆けを見に 神宮前の「ビラ・ビアンカ」へ
▽建築界の巨匠、槙文彦さんの作品を見に 青山・麻布へ
▽競技場からお菓子屋さんまで 大物建築家・隈研吾さんの作品を見に青山へ
▽ヴォーリズの東京の建築を見に 東洋英和女学院へ