「これをしたい!」とわがままを言う人がいます。「こいつわがままだな、なんとかならないかな」と思う時があります。そんな時は、そのわがままの「種類」を考えてみます。それが「子どものわがまま」なら、かなえられるように応援します。「おとなのわがまま」なら、拒否します。
§ 子どもにしか見えないもの
「となりのトトロ」という映画がありました。トトロは子どもにしか見えません。おとなには見えません。なぜでしょう。
「これが欲しい!」と子どもがわがままを言います。おとなは戸惑います。子どもには、自分の欲しい「これ」しか見えていません。
しかし、その子がそれを手に入れると、ほかの人が悲しい思いをする、苦しい思いをするということがあるかもしれません。それを手に入れるために周囲に甚大な影響が及ぶかもしれません。あるいは、与えられた環境ではそれを手に入れることが、そもそもできないかもしれません。
おとなにはその状況が見えるので、おとなはわがままを言いません。相手に配慮し、周囲に配慮し、環境に配慮します。
おとなになるにつれわがままを言うのをやめるようになります。そうしているうちに、自分が「これが欲しい!」と思っていたこと自体を忘れてしまいます。
それがおとなになるということです。なので、トトロはおとなには見えないのです。「これが欲しい!」という自分に素直な気持ち、正直な気持ち、それが「子どものわがまま」です。というように、私は考えます。
§ めんどくさいわがまま
成長するにつれ、他人の目を気にする、他人の思惑を気にする、ということを覚え、他人に媚び、へつらい、阿(おもね)る術(すべ)を覚えていきます。
成長したあげ句、「他人をだし抜いてやろう」「他人を押しのけてやろう」「他人をやっつけてやろう」という思いを抱くようになります。それを背景に「これが欲しい!」というのであれば、それは「おとなのわがまま」です。相手にする必要がありません。めんどくさいだけです。
§ 子どもの心とおとなのわきまえ
いくら自分に素直な「子どものわがまま」であっても、それを実現するには手立てが要ります。その手立ては社会の中で実行されます。社会の中では、おとなのわきまえを分かった上で、おとならしく振る舞わなくてはなりません。
それが分からない、分かりたくない、というのであれば、「子どものわがまま」は大切にしたいころですが、やはりあきらめてもらいましょう。
§ わがままの種類を考えるまとめ
おとなになるにつれ、自分が何者なのかだんだん分からなくなっていきます。成長しているように見えて、実は自分を見失っていきます。なので、自分が何を感じているのか、何を求めているのか、おとなはいつも用心していなくてはなりません。
用心していれば、トトロにはもう会えないかもしれませんが、別の何かに出会えるかもしれません。
冒険の後に実りの季節が来ました。