【皇室の話題】国際関係での皇室の「お得感」とは(2023年2月24日~3月2日)

         


 
 秋篠宮夫妻が英チャールズ国王の戴冠式に出席する方向で検討されている。国王の戴冠式、即位式には皇太子が参列するのが通例なので、日本で現在、皇太子に相当する皇嗣の身位にある秋篠宮が担うのは順当だろう。冠婚葬祭は皇室、王室が相互に親交を深める貴重な機会だ。ここで、国際関係での皇室の「お得感」について考えてみたい。

§ 政治の「外交」と皇室の「親善」

 「天皇は外交官100人分の威力がある」といわれる一方で、「皇室外交というものはない」ともいわれる。どっちなの?というと、どっちもである。いずれも正しい。外交という言葉をどう捉えるかの違いだ。
 「外交」を「交渉」と捉えれば政治の世界の話だが、「親善」ととらえれば、国どうし、国民どうしの関係の話。国際関係で「親善」を深めるのに皇室が果たしている役割は小さくない。つまり、国民にとって国際関係の面で、皇室の「お得感」は小さくない。

交渉の基盤

 外交というと「ディール」(取引)というイメージがある。ある国とある国が、お互いの利害得失を考えて、自国に有利なように妥協点を探り合う。場合によっては、だまし、脅しのような駆け引きもする。「そういうことを皇室はしませんよ」という立場では、「皇室外交というものはない」ということになる。
 ただ、交渉では、相互の信頼関係が前提になる。信頼の基盤が固ければ、交渉が気持ちのよい、納得のいくものになる。その基盤を作るのに皇室は大きな力を発揮する、という意味が「外交官100人分」という喩えだろう。
 なぜ大きな力を発揮するのか。皇室の持つ属性、「象徴性」「歴史性」「君主性」などに由来すると思われる。

純粋な親善の場

 外国の元首クラスが日本に来ると、首相と会談する。というより、外国元首は首相と会談するために日本に来る。その元首が国賓の場合は、天皇による歓迎行事があり、天皇との「会見」(面談)があり、天皇が「宮中晩餐」を催す。
 外国元首は通常は政治家なので、首相との会談は政治家同士の話し合いとなる。両国間の懸案について政治的な交渉が展開され、交渉を経た外交の成果が「共同声明」などで明らかにされる。
 天皇は政治的な権能を有しないので、「会見」で政治的な話はしない。相手が「ぜひわが国へ来てください」と言っても、天皇は「政府が検討すると思います」と応じる。
 政治的な話をしないので、利害関係の話にならない。そうすると「両国は深い関係がありますね」「世界にはいろいろな問題がありますが、あなたの国は国際社会でよくやっていらっしゃいますね」などの話になる。
 もっぱら「お互いは仲良しですよね。一緒に世界をよくしようと頑張っていますよね」という話になる。互いに相手を認め合う。互いのよい関係を確認し合う。純粋に国際親善を深める場所になる。
 それができるのは、天皇は「象徴」であって政治性がないからだ。利害関係から解放されるので、相手は「ここであまい顔を見せたら相手につけ込まれるかもしれない」などと余計なことを考える必要がない。
 

重い言葉の伝達

 外国の元首が日本に来る場合でも、天皇が外国を訪問する場合でも、相手の国は天皇を「日本を正統に代表する存在」だと受け止める。
 首相はその時の政治状況で国政のリーダーになっているだけで、あしたどうなるかは分からない。在任中という期間限定の「国の代表」だ。これに対し、天皇の存在はほぼ揺るぎがない。長い間変わらないという通時性がある。
 天皇にはまた、いにしえから存在してきたという「歴史性」がある。その歴史性を背景に、おおかたの国民は天皇が国を代表すると考えており、「統合性」もある。外国の元首としては会う甲斐があるというものだ。
 過去の国際関係を振り返ると、日本には残念ながら悲しむべき歴史がある。この負の歴史をどう乗り越えるかは日本にとっては大きな課題だ。
 日本がいま、国際社会でどのように歩もうとしているのかを外国に伝える時、もちろん政治家が表明することは大事だが、天皇が伝える場合、その「歴史性」「統合性」から言葉に重みが生じる。
 天皇は国政に関する権能を有しないのだが、天皇の言葉は、伝えられた外国にとっては大きな意味を持つことになる。天皇は、重い言葉を伝えることができる。この天皇の言葉について、政府は、つまり国民は、助言し、承認することができる。
 

君主のネットワーク

 英国をはじめ、欧州には王室がいくつも存在する。これらの君主たちは、緊密なネットワークでつながっているといわれる。このネットワークの中に日本の天皇は座を占めている。
 英エリザベス女王の在位60年の際、記念の昼食会に当時の日本の天皇、皇后が出席した。会には、欧州はじめアラブ、アジアから君主たちが集まった。日本の天皇は、親密なサークルの一員なのである。
 日本の天皇は政治的な権能を有しないが、欧州の君主は政治的な機能を担っている。国や政府の動きを長いスパンで見ているし、外国の要人と話す機会も多い。それゆえ国際情勢に通じている面があるといえる。その君主たちと、天皇は同じ立場で意見交換をすることができる。
 それが直接、日本の国民のお得感につながることはないが、君主国と国際親善を進める上で、日本が君主国として尊重されることには、それはそれとして「お得感」がある。
 もちろん、エリザベス女王在位60年の昼食会を「血塗られた植民地支配の権化の集まり」と称した英国の新聞があったように、その点が「お得」ではないかもしれない。
 植民地支配の時代から「人は生まれながらにして平等」という思想があり、日本国憲法は、人は門地(出自)により差別されないと定めている。とはいえ、皇室、王室がその国の社会の中で特別な存在であることは疑いがない。
 国際社会でも同じで、共和国のフランスの人であっても、天皇に畏敬の念を表する人がいる。天皇家は世界でも有数の長い歴史が確認できる家系であり、その間ずっと高貴であるとされてきた。その意味合いから、天皇が外国を訪問すると、首相などよりはるかに「ありがたい」と受け止められる。
 そんなことは「お得」ではない、「お得」の反対だと考えることもできる。だが、現実の国際関係で「お得」に作用している面があるだろう。
 

存在の意味を決めるのは国民

 上皇は在位中、中国を訪れて人民大会堂でスピーチし、オランダで戦争犠牲者の霊に上皇后と一緒にこうべを垂れた。行く先々で、あるいは国賓を迎えてのスピーチで、「日本は大戦後、平和国家として歩んでいますよ」と表明し続けた。これは戦後の歴史上、少なからぬ意味があったと思われる。
 英国では元戦争捕虜に背を向けられたが、天皇の訪英を実現するために、多くの関係者が関係改善の策を考え、相手に提示し交渉し、下地を築いた。「天皇が無事に英国を訪問できること」、それが親善の証しであり、その状態を作る努力の源泉は天皇だった。
 天皇は国際親善の面で「お得」なのか、そうでないのか。考え方による面もある。ただ、天皇に「お得」な存在になってもらうのか、「お得」の反対になるので引っ込んでいてもらうのか、それを決めるのは国民であることを考えていたい。さあ、どうしましょうか。

§ 雑誌の主な見出し

『女性自身』 2023年3月14日号:2月28日発売
■雅子さま[59]松潤[39]と「泰平の誓い」5年ぶり園遊会で
■秋篠宮さま[57]へ彬子女王[41]諫言「陛下ともっと会話を」
■紀子さま[58]ルフィ逮捕の鬼啓示を悠仁さま[16]の警護に!
■陛下[63]の胸熱ラブレター「お名前連呼15回」雅子さま感涙!
 
『週刊女性』 2023年3月14日号:2月28日発売
■雅子さま[59]不安ずくめ「トラウマ」園遊会
■佳子さま[28]ひとり暮らし報道で破綻した「計画」
 
『週刊新潮』 2023年3月9日号:3月2日発売
■「小室眞子さん」NY美術館通いと「お引越し」 [犯罪多発!]「プリンセスの写真」を手に「自警団」巡回
 
『女性セブン』 2023年3月16日号:3月2日発売
■愛子さま(21)お相手最有力旧皇族男子[4歳年上]は早稲田卒イケメン

§ 日誌

天皇 皇后 愛子内親王

▽2月28日(火曜)
【天皇・皇后】国民の信頼を高める業績をあげた国家公務員をたたえる「人事院総裁賞」の受賞者と面会(皇居・御所)

秋篠宮家

▽2月27日(月曜)
【秋篠宮・紀子妃】5月に催される英国のチャールズ国王の戴冠式に、秋篠宮夫妻が出席される方向で宮内庁が調整を進めているとの報道
▽2月28日(火曜)
【紀子妃】第27回結核予防関係婦人団体中央講習会」の開講式に出席(千代田区のホテル)
▽3月1日(水曜)
【小室眞子さん・圭さん】小室圭さんはこの日までに米ニューヨーク州で弁護士として活動を開始。登録は現地時間の2月27日付
▽3月2日(木曜)
【秋篠宮・紀子妃】優秀な大学院博士課程の学生を顕彰する「日本学術振興会育志賞」の授賞式に出席(東京都台東区の日本学士院会館)

各宮家

▽2月26日(日曜)
【高円宮の久子妃】「高円宮牌2022ホッケー日本リーグ」の女子決勝戦を観戦(東京都品川区の大井ホッケー競技場)。久子妃は日本ホッケー協会の名誉総裁▽2月28日(火曜)
【三笠宮家の寛仁親王の信子妃】昨年11月の乳がん摘出手術後の補助療法として慶応大病院(東京都新宿区)で受けていた放射線治療を全て終えたと宮内庁が発表。今後、皮膚科に通院する。
▽2月27日(月曜)
【三笠宮家の彬子女王】2月27日~3月2日、日本プロスキー教師協会の研修会など行事出席のため福島県を訪問。彬子女王は日本プロスキー教師協会の総裁
▽3月1日(水曜)
【常陸宮】発熱の症状があり、東京都渋谷区の日本赤十字社医療センターに入院
▽3月2日(木曜)
【常陸宮】尿管結石の手術を受けた(東京都渋谷区の日赤医療センター)

一般

▽2月26日(日曜)
▼岸田文雄首相は26日の自民党大会で、安定的な皇位継承策について「先送りの許されない課題で、国会での検討を進めていく」と表明した。具体的な検討が進むかどうかは不透明。
▽2月27日(月曜)
▼松野博一官房長官は27日の記者会見で、安定的な皇位継承策について「現在、衆参両院議長の下で検討が行われている」「国会での議論の結果を踏まえ、必要な対応を行いたい」と述べた。
 
宮内庁HP【天皇皇后両陛下のご日程 令和5年(1月~)】
宮内庁HP【秋篠宮家の御日程 令和5年(1月~)】
 
皇室ウイークリー 産経新聞
皇室7days 朝日新聞DIGITAL
 
これまでの【皇室の話題】
▽皇室の生きづらさとは(2023年4月7日~13日)
▽天皇の「お得感」の歴史的な変遷とは(2023年3月31日~4月6日)
▽天皇・皇室についてもやもやした時に考えてみること
▽愛子内親王の結婚報道で迷惑するのは誰か(2023年3月17日~23日)
▽天皇、皇族の行動を決めるのは前例と理念(2023年3月10日~17日)
▽天皇は男系男子でなければだめなのか(2023年3月3日~10日)
▽皇室の存在の「お得感」とは何か(2023年2月17日~23日)
▽皇室の情報発信 何を伝えるのか(2023年2月10日~16日)
▽あるべき姿、役割をどうとらえるのか(2023年2月3日~9日)
▽佳子内親王が願う「幅広い選択肢を持てる社会」(2023年1月27日~2月2日)
▽愛子内親王の和歌に注目集まる(2023年1月20日~26日)