【 JAARAで散歩】港区で恒例の「平和展」 今年の赤坂図書館は「国際平和とウクライナ」

         


 
 東京都港区が毎年開催している「平和展」。2023年の赤坂図書館の展示はウクライナの戦争でした。中心になるのはウクライナの子どもたちが書いた大きな絵。世界を巡回している絵画作品や、ウクライナの惨状を伝える写真もありました。この戦争の現状を知った上で、さらにその先を考えてみたいと思いました。(2023.7.26)
 神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布(JAARA)は歩くだけで楽しい街ですが、つらいことを考える場合もあります。
※ JAARA(ジャーラ)は[神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布]の街の連なりを指す造語です。

§ 平和を願う子どもの絵

 平和展は港区内の5カ所で7月25日から始まりました。赤坂図書館では多目的室が会場になっています。今年のテーマは「国際平和とウクライナ」です。
 

 

 ◇青山一丁目タワーの3階です。
 
 ■港区立図書館|赤坂図書館
 ■港区ホームページ/平和展
 
 中央にあるのは日本にいるウクライナの子どもたちが描いた絵です。
 

 
 明るい光や花、ツルなどが描かれています。次のような説明があります。

 ピカソがスペイン市民戦争に抗議して制作した「ゲルニカ」(1937年)と同じサイズ(3.5mx7.8m)のキャンバスに、世界各地の子どもたちが「平和」をテーマに絵を描く国際子ども平和壁画プロジェクト「キッズゲルニカ」。
 今回展示している作品「ウクライナへの祈り」は、2022年にウクライナ日曜学校「ジェレリツェ」(DZHERELTSE)の子どもたちによって制作されました。
 
 Kids’ Guernica, an international peace mural project for children, sees children from around the world draw pictures based on the theme of “peace” on a canvas the same size (3.5m x 7.8m) as Guernica (1937), which was created by Picasso to protest against the Spanish Civil War.
 “Player for Ukraine,” the work on display in this exhibition, was produced by children from the Ukrainian Sunday School “Dzhereltse” in 2002.

 
 「キッズゲルニカ」というプロジェクトで描かれた絵です。ネットを見ると、「KIDS’ GUERNICA International Children’s Peace Mural Project」というページがあります。
 日本語のページもありました
 ■キッズ ゲルニカ (kids-guernica-jp.blogspot.com)
 このページの「コンタクト」のところには「キッズゲルニカ国際委員会代表 大妻女子大学教授 金田卓也」とありました。大妻女子大の金田卓也教授という方がプロジェクトの代表です。
 歴史を見ると
 1995 アート・ジャパン・ネットワークにより終戦後50年にあたる年にキッズゲルニカ・プロジェクトが開始される。最初のワークショップをフロリダのタラハシ市で開催。
 2000 ネパールのカトマンドゥにおいてキッズゲルニカ国際展覧会。アート・ジャパン・ネットワークによる第一段階を経て、キッズゲルニカ国際委員会が設立され運営にあたる。
 2001 京都においてキッズゲルニカ国際展覧会。
 ……
 と続いています。
 
 プロジェクトへの参加方法については、
参加方法はとてもシンプルで、とくに申し込み手続きは必要ありません。
・ 『ゲルニカ』と同じ大きさのキャンバス (3.5m ×7.8m) を用意する。
・ 「平和」について話し合う。
・ 『ゲルニカ』の平和の絵を描く。
・ ワークショップの様子と完成した作品の画像を送ってこのウェッブサイトに掲載する。
となっていました。
 
 この絵を描いたウクライナの子どもたちが通う日曜学校「ジェレルゼ」は、2009年に東京近郊の子どもたちのために、NPO法人「KRAIANY(日本ウクライナ友好協会)」が開いた日曜学校です。授業は2週間に1回、港区の芝浦で。ウクライナ語や、ウクライナの文化を学んでいるそうです。
 
 ウクライナ現地の子どもたちが書いた絵も展示されています。
 



 
 ■キッズゲルニカのHP
 ■キッズゲルニカのHP(日本語)
 ■金田卓也 – Wikipedia
 ■About Sunday School Dzherelze (kraiany.org)

§ 犠牲の大きさを思う

 平和展ではウクライナの惨状を伝える写真も展示されています。
 



 
 「Unissued Diplomas」として、戦争(ロシアの侵略)によって命を奪われたために卒業できなかったウクライナの学生の記憶をたたえ、追想する展示もありました。
 

§ 5か所で開催

 港区は1985年に「港区平和都市宣言」を行い、2010年に「平和首長会議」に加盟しています。
 会場には、港区が作った平和を考えるパンフレットや、日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名用紙が置かれ、「平和への願い」を折り鶴に込めるコーナーもあります。
 


 
 平和展は港区内5カ所で開催されています。芝公園の港区役所1階ロビーは「空襲」、南麻布のありすいきいきプラザは「原爆」、白金台の郷土資料館は「若者たち、子どもたち」、みなとパーク芝浦は「沖縄」がテーマです。
 順に見て回るためのルートマップも掲示してありました。
 

§ 赤坂図書館の平和展のまとめ

 きのうもきょうも、悲惨な戦争が続いています。いたましいこの現実を心に留めたいと思います。ただ、戦争はなぜ起きたのか、戦争を起こした人はどんな考えにもとづいているのか。それを考えるわかりやすいきっかけとなるヒントの展示があったらよかったな、と思いました。欲張りです。でも、きょうを、あしたをよりよい一日にするために。
 
【 JAARAで散歩】赤坂で散歩
▽明治の軍人の気概に触れる 乃木坂の旧乃木邸へ
▽現代日本の建築を見に 青山通りを青山から赤坂へ