【 JAARAで散歩】まだ見ぬ国の人々を思い浮かべて 大使館を見に元麻布へ

         


 
 この休みはどこかへ散歩に行きますか。元麻布へ大使館を見に行くのはどうでしょう。建物の外観を眺めながら、まだ見ぬ国の歴史や風景、人々を勝手に思い浮かべてしまいましょう。もっとも古い共和国にして海外初の神社がある国、首都が「「ヨーロッパ圏で最も退屈な街」とも呼ばれることもある国。いろいろな国がありますね。
 神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布(JAARA)は歩くだけで楽しい街。目的があれば歩くのがいっそう楽しくなりますね。(2032.02.19)
※ JAARA(ジャーラ)は[神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布]の街の連なりを指す造語です。

§ 大国でなくても外交団長

 元麻布は大使館の多いところです。六本木ヒルズからテレ朝通りを南へ進み、麻布消防署の角を左に折れて少し行くと、サンマリノ共和国大使館があります。
 

 
 白い瀟洒な建物です。品のいい邸宅のイメージもあります。
 

 
 サンマリノはイタリアの中東部にある内陸国で、標高が高いのでアドリア海を眺望できます。面積は61.2㎢で東京都世田谷区と同じくらい。人口はその30分の1の3万3千人ほどです。夏は暖かく、冬は非常に寒く、1 年を通して、気温は 0°Cから30°Cくらいなようです。
 

 

 
サンマリノの国旗
 
 伝説によると、4世紀初頭の301年、ローマ教皇のキリスト教迫害を避けた石工のマリーノさんが、ティターノ山(現在世界遺産になっている)に逃れて砦を築き、同志とキリスト教の共同体をつくったのが始まり。その当初から共和制だったので、「ヨーロッパで現存する最古の共和国」といわれています。
 
 日本との間では1996年に外交関係が樹立され、1999年に在東京サンマリノ総領事館、2002年12月に大使館が開設され、初代駐日大使としてマンリオ・カデロさんが着任しました。
 カデロさんは2011年から駐日外交団の団長を務めています。
 外交団長は各国の大使などの集まりの代表格で、在任期間が一番長い人が務めます。カデロさんは、外交団長として、明仁上皇の在位30年式典や徳仁天皇即位の礼の饗宴の儀で祝辞を述べています。
 現在も大使を務めていらっしゃるようなので、現在も外交団長ということになります。大国の大使が務めるわけではないのですね。
 

 
 サンマリノは、長く独立を守ることに注力してきたので、国民性としては保守的な傾向があるようです。

§ ヨーロッパで唯一の神社

 ところで、新橋を歩いていると興味深いシャッター広告を見つけました。
 

 
 サンマリノ神社? お神酒ワイン? なんだろう。興味がわきます。調べてみると、「サンマリノ神社」の境内のブドウ畑で栽培したブドウから作ったワインです。
 

むらまつ酒商類ヤフー店さんのページから転載)
 
 ラベルはその年の干支の図柄のようです。
 
 サンマリノには神社本庁が承認したヨーロッパでの唯一の神社サンマリノ神社があります。カデロさんらによって、東日本大震災の犠牲者を追悼するため、2014年に創建されました。主祭神は天照皇大神。宮司は神社本庁から任命されたサンマリノ人の方とのことです。
 
 神社の様子を紹介する動画です
 
San Marino Jinja Video

 
 冒頭の風景を見ると、おとぎ話の国みたいな感じです。

§ ゆったりとした国

 サンマリノ大使館から進んで、リトアニア大使館の前を通りさらに行くと、スロバキア共和国大使館があります。
 

 

 
 スロバキアは、北はポーランド、東はウクライナなど5カ国と接し、南のハンガリーとの国境にはドナウ川が流れています。
 面積は4.9万㎢で日本の約7分の1。人口は545万人。国土の8割は標高750m以上の山岳や丘陵地で、日本と同じように四季があるそうです。
 

 
 以前はチェコ・スロバキアでしたが、スロバキアはハンガリーの支配下にあった歴史からハンガリー人が多くハンガリー文化があるため、社会主義でない体制へ移行する際に、チェコと平和的に分離したそうです(1993年)。
 
  ワーキングホリデー協会の記事は、首都ブラチスラバは非常に落ち着いた街で、「ヨーロッパ圏で最も退屈な街」とも呼ばれることがあると紹介しています。騒がしくなく、ゆったりとした時間が流れており、「田舎っぽい」というイメージがあるとのことですが、日常の生活を大切にして楽しむ国民性が思い浮かびます。
 
 大使館でも外に面したテラスが設けられています。ひと時ひと時をより楽しく過ごそうとしているのではないでしょうか。
 
 
 
 日々を楽しむといえば、フォークダンスもありそうですね。
 
TANCUJ TANCUJ (踊ろう 踊ろう)

§ 元麻布の大使館のまとめ

 知らない国にはいろんな歴史や風土がありました。元麻布は外国人が多く住んでいることもあり、暮らしやすいので大使館も多いのでしょう。周辺は、喧騒のちまたとはだいぶんかけ離れた閑静な住宅地。そこを歩いてみるのも興味深いものです。きょうもいい一日になりそうです。
 
【 JAARAで散歩】大使館を見る散歩
 ◇戦時下のウクライナの人々の思いを感じに 西麻布のウクライナ大使館へ
 ◇港区にはなぜ大使館が多いのか 歴史を思い浮かべながら西麻布へ
 ◇ソフトパワーをアピールするパネルを見に 元麻布の中国大使館へ
 ◇バルト海の未知の国の歴史を思う リトアニア大使館を見に元麻布へ