秋分の日、北青山に「青山星灯篭」のイベントを見に行きました。「星灯篭」とは、灯篭(提灯)を高く掲げ、星に見立てて楽しむ江戸時代まで行われていたこのエリアの行事といいます。伝統を復活させようと、2021年からイベントを開催。この日は提灯が取り囲む中、影絵の会が開かれていました。
神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布(JAARA)は歩くだけで楽しい街。目的があれば歩くのがいっそう楽しくなりますね。
※ JAARA(ジャーラ)は[神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布]の街の連なりを指す造語です。
§ 団地の跡地が新しい空間に
きっかけは1枚の看板。青山通りを歩いていると、ワールドのビルの前で目にとまりました。
どうやらこの日、イベントをやっているようです。会場はこの近く。ちょっとのぞいてみようということで、ビルの横の細い道を入って行きます。
道の先は、以前に団地があったところ。(都営青山北町アパート)。建て替わった新しい建物「北町三丁目アパート」が見えて来ます。
その前を右に折れると、芝生の広場がありました。
周辺一帯が生まれ変わり、新しい空間になっています。その先も道が延び、左側は木立。木立の中には、散策路や憩いのスペースが配置されています。
右側にはレストランやショップなどが入ったビルがあります。
§ 自然に包まれた都営住宅と民活ビル
団地の跡地を再開発したこのエリアは「ののあおやま」と命名されています。「のの」とは神さま・仏さまを表すらしい。そういえば、むかしの人は仏壇のことを「のんのさま」とか呼んでいました。
自然に包まれ、自然回帰を感じる空間をイメージしているようです。
■ののあおやま
■「ののあおやま」 都営青山北町アパート跡地の街区名決まる – シブヤ経済新聞
「ののあおやま」エリアの再開発は、「都営住宅建替事業区域」と「民間事業区域」に分かれ、都営住宅は「北町三丁目アパート」、民間事業として「ののあおやま民活棟」が建てられています。
「ののあおやま民活棟」は地上25階、地下1階、高さ約90m(最高の高さ約100m)で、賃貸住宅「クラス青山」、サービス付き高齢者住宅「ツクイ・ののあおやま」、ショップ、レストラン、保育園が入っています。
HPに配置図がありました。

引用:「ののあおやま」
図の説明として、①地域交流拠点 ②しばふ ③小川 ④ぶたい ⑤大階段下広場 ⑥クラス青山 ⑦ツクイ・ののあおやま ⑧おはよう保育園 ののあおやま、となっています。
■施設概要|ののあおやま
ビルの角にある地域交流拠点では、この日は「影絵づくり教室」をやっていました。ここで作った影絵が夜になって登場します。
§ お盆の行事復活で環境と暮らしを再発見
イベントのウェブサイトは「青山星灯篭」を次のように紹介しています。
夜にはまるでたくさんの星が出ているように見えたところから「星灯篭」と呼ばれ、二代歌川広重の浮世絵にも描かれています。
そして、イベントはそれをよみがえらせる新しい取り組みとだと紹介しています。
これからの街と人の暮らしについて考えるための新しい取り組みです。
■青山星灯篭|ののあおやま
看板にあった地図によると、「ののあおやま」の場所は、江戸時代は武家屋敷だったようです。
とはいえ、浮世絵にも描かれているように、町屋も広がっていたのでしょう。
§ 星灯籠の下の影絵会
あたりが暗くなりました。ビルの大階段に灯篭か並んでいます。
灯篭の装飾は子どもたちがデザインしたのでしょうか。
見上げると、木立の高いところにも提灯があり、「星灯篭」の雰囲気を伝えています。
さて影絵が始まりました。
演者の話の運びは、なかなか巧みです。子どもたちは影絵の世界にどんどん入り込んでいきます。
影絵はインドネシアのやり方だそうで、演者は観客の側にいて、背中から光を受けます。
キャラクターを動かしながらお話を進めて行きます。
最後は子どもたちも参加して、大変なことになりました。
§ 時の流れを感じた「ののあおやま」
街がどんどん変わっています。江戸時代とはいわず、つい最近まであったこの地域の生活はどこへ行ってしまったのだろうという気もします。庶民的な団地の跡地に、絵に描いたような「現代の都会生活」が出現しました。時は流れます。時は流れても、いつも変わらずそこにある、頭の上の空を見上げてみましょうか。
【 JAARAで散歩】青山で散歩
▽スケールの大きなストリートアートを見に 北青山のブラジル大使館へ
▽明治の軍人の気概に触れる 旧乃木邸へ
▽黄金色のトンネルを抜けに 明治神宮外苑のイチョウ並木へ