【皇室の話題】天皇の国会開会式出席は「国事行為」ではない(2022年7月29日~8月4日)

         


 

¶ 国会開会式に工夫の余地はないか

 天皇が国会の臨時国会開会式に出席した。天皇が国会を召集するのは「国事行為」だが、国会の開会式に出席するのは国事行為ではない。「国事行為に付随する行為」などと呼ばれている。
 国会を召集する「国事行為」とは、国会を召集する書面に天皇が書名押印することである。それは国と国民の象徴としての行為だが、国民が天皇を国と国民の「象徴」として意識する場面は、開会式での姿だろう。
 
 開会式で天皇が金ぴかの椅子の前に立って、高いところからものをいうのには、違和感を感じざるを得ない。天皇は国民の象徴なわけだから、天皇に自分を重ねるとすると、そんな尊大な態度をとりたくないし、自分を重ねないとすると、上からものを言われたくない。
 日本共産党に全面的に賛成しているわけではないが、国会開会式に対する同党の姿勢を理解できないでない。
 同党は1947年(昭和22年)の第1回国会以来開会式に出席せず、2015年12月に転換した。
 それまで出席しなかった理由は2点。(1)開会式の形式が、戦前の大日本帝国憲法下の「開院式」の形式をそのまま踏襲している(2)天皇の「お言葉」のなかに「天皇は国政に関する権能を有しない」に違反する発言が含まれている―ということだった。(2)が改称されたので姿勢を転換した。やり方についてはこだわっている。
 かつてのやり方を踏襲しないとするとどうするか。決めるのは難しい。とはいえ、かつてのやり方を踏襲しない憲法になったのだから、前と同じではまずいだろう。
 権威主義的な印象をなくすための工夫をする余地がある。国事行為に付随する行為について、憲法の趣旨に沿って考えを凝らしたい。
 (皇室王室勉強家・以出江 凡)
 
国会開会式 日本共産党出席へ 引き続き民主的改革を要求/志位委員長が表明
共産党が国会開会式に出席 なんと69年ぶり 天皇陛下に起立→頭垂れる – 産経ニュース

¶ 日誌

天皇 皇后 愛子内親王

▽8月3日(水曜)
【天皇】新たに就任した尾辻秀久参院議長、長浜博行参院副議長からあいさつを受けた(皇居・宮殿)
【天皇】臨時国会召集、開会式に出席(参院本会議場)国会は5日まで
▽8月4日(木曜)
【天皇・皇后】山本麻里内閣官房孤独・孤立対策担当室長から社会情勢などを聞いた(皇居・御所)

上皇 上皇后

▽7月29日(金曜)
【上皇】生物学研究所で研究

秋篠宮家

▽7月31日(日曜)
【秋篠宮・紀子妃・悠仁親王】全国高校総合文化祭(総文祭)の総合開会式に出席(東京都千代田区の東京国際フォーラム)
▽8月2日(火曜)
【秋篠宮・紀子妃・悠仁親王】都内で開催中の全国高校総合文化祭(総文祭)の会場を訪れ、小倉百人一首かるた部門や、美術・工芸などの部門を見て回った。夫妻が総文祭の各部門を現地で視察するのは2019年以来、悠仁親王が同行するのは初めて(東京都台東区)
▽8月4日(木曜)
【秋篠宮・紀子妃・悠仁親王】全国高校総合文化祭(総文祭)の軽音楽部門の演奏を鑑賞(中野区の中野サンプラザ)、合唱を鑑賞(豊島区の東京芸術劇場)

各宮家

▽7月31日(日曜)
【彬子女王】コロナ感染が判明し入院

¶ 関連サイト

宮内庁HP

宮内庁HP【天皇皇后両陛下のご日程】へ
宮内庁HP【秋篠宮家の御日程】へ

メディア

皇室ウイークリー 産経新聞
皇室7days 朝日新聞DIGITAL

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