【 JAARAで散歩】アートに新風を吹き込んだすごい作家の作品が赤坂の道端にあった

         


 
 赤坂通りをTBSの方へ向かって歩いて行くと、赤坂陽光ホテルの前に彫刻があります。銘板を見ると、関根伸夫さんという人の作品です。この関根伸夫さん、戦後のアートシーンに新たな風を吹き込んだ作家なのでした。なにげなく歩いている道の端に、すごい作家の作品が、なにげなく存在しているのでした。パブリックアートおそるべし。
 
 神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布(JAARA)は歩くだけで楽しい街。目的があれば歩くのがいっそう楽しくなりますね。
※ JAARA(ジャーラ)は[神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布]の街の連なりを指す造語です。

§ 「もの派」の先駆け

 赤坂6丁目にある彫刻、関根伸夫さんの「空想―虹」(1985年)です。
 

 
 溶岩のような塊の上に、均整の取れた円錐があります。溶岩の塊は空に伸びて円弧の一部のようになっています。
 
 関根伸夫さんは1942年生まれ。戦後の1960~1970年代に「もの派」と呼ばれた作家たちの先駆けとなった人だったのでした。
 「もの派」とは聞いたことがありません。どんな人たちなのでしょう。
 
 関根伸夫 – Wikipedia
 

§ 「芸術家」と「もの」、「もの」と「環境」

 素人が調べて分かるわけでもありませんが、芸術門外漢の私が勝手に想像する「もの派」とはこんなことです。
 芸術家は、大理石を削ったり粘土をこねたりして芸術作品を作ります。芸術家と「もの」(大理石、粘土)との関係はどんなかというと、芸術家が、単なる「もの」を、好き勝手にいじくって、「立派な」芸術作品に仕立ててやっている、という関係だともいえます。
 「それっておかしくね?」と考えたのが「もの派」なのではないかと勝手に妄想します。
 「もの」は、芸術家がそれを芸術作品に仕立ててやろうと考えようが考えまいが、いじくろうがいじくるまいが、そもそもそのままで「立派に」存在しているのではないかと。
 またそうした時、「もの」の存在の「立派さ」は、「もの」が置かれている周囲の空間、近くにある別の「もの」と関係しているのではないか、とも考えたのだと妄想します。

§ 都庁の2つの庁舎の間にも

 関根伸夫さんの作品は東京都庁の庁舎の周囲にもあります。
 「水の神殿」という作品。
 

 
 それと「空の台座」という作品です(いずれも1991年)
 

 
 これが、さっき妄想した「もの派」とどんなふうにつながるのか。それが分からないところが悲しくはありますが、いいものを見せてもらったような気になります。
 なにより、都庁にパブリックアートを見に行くきっかけになりました。この2つの作品は、第一本庁舎と第二本庁舎をつなぐスペースの両側に配置されています。
 


 
 このスペースと、ここから1階分下がった都民広場には、計30くらいの彫刻があり、いろんな作家のパブリックアートを楽しめるようになっているのでした。
 

はばたき 舟越保武 1973年

§ すごい作家の作品が道端にのまとめ

 関根伸夫さんは、作品と空間との関係性を大切にする点では、パブリックアートの先駆け的な存在でもあるようです。
 すごい人の作品だと思うと見る目が変わるわけですが、♪ピーピピピピ ピカソも ダビンチも 好きな ものだけ 自分で決める~ がいちばんいいわけです。好きな作品にたくさん出会えるといいなあ。きょうもいい一日になりそうです。
 
【 JAARAで散歩】パブリックアートを見る散歩
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▽気鋭の書と大家の絵に圧倒される パブリックアートを見に明治神宮前<原宿>駅へ
▽デザイン・アートの街にアートを見つけに 六本木交差点へ
▽有名彫刻家の作品を見に南麻布の有栖川宮記念公園へ
▽大画面の壁画の迫力 赤坂・六本木の地下鉄駅へ
▽若手アーティストの壁画を見に六本木へ
▽芸術としてのベンチとベンチとしての芸術 六本木・けやき坂へパブリックアートを見に行く