東京都港区は2023年の春、観光PRに活用するため徳川家康と勝海舟をモチーフにしたキャラクターを作成しました。勝海舟は2023年が生誕200年。生涯の大半を赤坂で過ごしました。江戸無血開城を実現したすごい人が、かつて赤坂に住んでいたんだなあと思わせる銅像が建っているので見に行きましょう。
神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布(JAARA)は歩くだけで楽しい街。目的があれば歩くのがいっそう楽しくなりますね。
※ JAARA(ジャーラ)は[神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布]の街の連なりを指す造語です。
§ 2023年は勝海舟生誕200年
その銅像とは、「勝海舟・坂本龍馬の師弟像」です。かつての海舟の邸宅跡地に建っています。
坂本龍馬と一緒にいるのは、龍馬とのいきさつがあるからです。
文久二年(1862年)11月、海舟を刺殺しようと訪れた龍馬は、海舟から世界情勢を説かれ、門下生になってしまうのでした。
銅像が建っている場所は旧赤坂氷川町。現在の赤坂6丁目6番地。ここには49歳だった明治5年(1872年)から75歳で亡くなる明治32年(1899年)まで住みました。
敷地は後に港区立氷川小学校となり、現在は区立特別養護老人ホーム、子ども中高生プラザになっています。
銅像は通りから良く見えるように建てられています。
近くの石碑には「史蹟 勝安房邸址 勝海舟伯終焉ノ地ナリ 昭和五年十二月 東京市」と刻まれています。
勝海舟 – Wikipedia
§ 赤坂の3カ所に居住
勝海舟は赤坂の3カ所で暮らしています。生まれは本所(現墨田区)ですが、通算で約50年、赤坂に住んでいます。
先ほどの氷川小学校の場所へ来る前は、少し離れた場所(現赤坂6丁目10番)に住んでいました。
そこに標識が立てられています。
当時の地名は赤坂本氷川坂下(もとひかわざかした)、のちに氷川町。安政6年(1859年)から明治元年(1868年)までの約10年を過ごしました。併設の解説板に、勝さんの住みかの移り変わりが詳しく書いてあります。
それによると、勝さんは新婚23歳の時、赤坂田町中通り=現赤坂3丁目13番2号、みすじ通り=の借家で所帯を持ちました。赤坂溜池で蘭学を学んだので、赤坂に縁があったのです。
36歳の時に本氷川坂下に移り10年間住むわけですが、その10年が最も華々しく活躍した時期でした。移った翌年の安政7年には咸臨丸の艦長として渡米。日本の艦船として初めて太平洋の横断・往復に成功しました。
文久2年(1962年)、坂本龍馬が勝さんを刺殺しようと訪れたのもここでした。
明治元年には西郷隆盛と談判を重ねて江戸城の無血開城を決めます。その後、引退した徳川慶喜に従って静岡に移りますが、明治5年に再び上京して、先ほどの氷川小学校の場所、赤坂区氷川町4番地(現赤坂6丁目6番)に住んだのでした。
明治になってからは参議・海軍卿、枢密顧問官など顕官を歴任。『氷川清談』もこの氷川の地で生まれました。
§ キャラクターは気付くきっかけ
話は戻って港区の観光キャラクターです。徳川家康をモチーフにした「みなやすくん」と、勝海舟をモチーフにした「かつとくん」というのだそうです。
港区HPから引用
港区ホームページ/徳川家康と勝海舟をモチーフにしたキャラクター「みなやすくん」&「かつとくん」が港区の観光を盛り上げます (city.minato.tokyo.jp)
キャラクターのなまえは、「みなと」と「(いえ)やす」「かつ」を組み合わせたのでしょうけれど、なんだかよくなじめない感じです。それと、ちょっと顔が濃すぎるように思います。
でもまあ、勝海舟について気付かせてくれたので、ありがたいことではありました。
§ 赤坂に長年暮らした勝海舟のまとめ
勝さんは、戊辰戦争をめぐる薩長との交渉、日本を脅かす列強の軍隊との交渉など、考えるだに気の遠くなるリスク・コントロール、クライシス・コントロールを担ったすごい人です。坂本龍馬とも親交があったのでしょう。そんな人が赤坂にいた、住んでいた、と考えると不思議な気持ちになります。
勝さんは、日清、日露の戦役で日本が勝ったことにはうかれず、国際政治、国際経済で日本がどうやって列強と伍していくかが大切だと考えていたようです。
「勝海舟・坂本龍馬の師弟像」が建立されたのは2016年9月。同年8月には明仁上皇(当時天皇)が退位の意向をにじませたメッセージを公表、11月には米大統領選挙でドナルド・トランプ氏が当選しました。
時代はどんどんと移り変わっていきます。勝さんと坂本さんが生きていたら、今の日本の行方をどのように見ているでしょうか。そんなことを考えることができました。きょうもいい一日になりそうです。
【 JAARAで散歩】赤坂で散歩
▽明治の軍人の気概に触れる 乃木坂の旧乃木邸へ
▽現代日本の建築を見に 青山通りを青山から赤坂へ
▽赤坂一ツ木通りの路傍の石柱は彫刻のパブリックアートだった
【 JAARAで食べ飲み】赤坂で食べ飲み
▽コスパ抜群の赤坂『赤札屋弁慶』さん 改装されてすっきりした雰囲気に
▽コスパ最強のサイゼリヤ 赤坂見附のお店は居心地がいい
▽銘醸の日本酒で〆は細うどん 赤坂の『香吾芽』さんへ 食べ飲み探訪
▽長崎・五島の料理とお酒 赤坂の『赤ちょうちん ぶらり』さんへ
▽陳年18年の紹興酒を飲みに 赤坂の『京華茶楼』さんへ
▽和食と日本酒がおいしい居酒屋さん 赤坂の『ごだいご』さんへ
▽知る人ぞ知る焼肉の名店 赤坂の『大関』へ
▽越後のおいしいへぎそばとは 赤坂の居酒屋『きなせや』さんへ