この休みはどこかは楽しいところへ散歩に行きたいな。そんなとき、街角の芸術作品=パブリックアート=を見に行くのはどうでしょう。今回は六本木トンネルの側道に描かれた壁画をご紹介します。いずれも高さ約3メートル、幅約8メートル。5作品が壁いっぱいに並んでいて壮観です。
神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布(JAARA)は歩くだけで楽しい街。目的があれば歩くのがいっそう楽しくなりますね。
※ JAARA(ジャーラ)は[神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布]の街の連なりを指す造語です。
§ 都会の風景に人間味を
一連の壁画は、東京都が管理する道路や公園の壁に絵を描く「ストリートペインティング事業」の第1弾として2004年に完成。
この事業は、都会の殺風景で無機質な都市空間をアートで人間味のあるものにしようとする試みであると同時に、若手アーティストにステップアップの機会を提供することを狙っているそうで、東京都の公募展入賞者らから選ばれた若手アーティストが壁に足場をかけ、猛暑の夏に約2ヵ月をかけ、朝から夜まで、黙々と描き続けて製作したとのことです。
§ 乾いた砂漠
南側から進むと、最初は楊雅淳(よう・まさじゅん)さんの「砂漠中のハイビスカス」
楊さんは1976年、台湾生まれ。プレートには「壁画を描くことによって、『休息』というモノは人々にとって、どれほど重要なモノかを考えました」との思いが書いてあります。「私の作品を見て、その砂漠のように乾いている『気持ち』を思い出し……」とも。
作風はアモルファスな中で動く感じですかね。
§ 引っ張らないで下さい
次は北川純(きたがわ・じゅん)さんの「ジッパー」
プレートには「このジッパーを引っ張らないで下さい。」とあります。
ジッパーの取っ手に「YKK」でなく「JUN」とあるので、いにしえの「VAN」「JUN」の「JUN」かと思いましたが、ご自身のお名前なのでしょう。ジッパーをモチーフにした他の作品も制作しているようです。
HPに死亡記事があったのでびっくりしました。生前に書いてみたようです。自分の死亡記事を書くのは難しい。私など書くことがありません。
§ 都市の郊外
5枚の真ん中は鮫島大輔(さめじま・だいすけ)さんの「東京八景」
「別々の東京の郊外の風景が一つの街角のように連結しています」。なんとなく見覚えがあるような、懐かしいような風景が連なっています。
この人の作品には、街の風景を平面でなく、球面に描いたものもあるようです。円環ならぬ球環で連続しますね。
§ 昼でも夜でもない
次は松本力(まつもと・ちから)さんの「夕方の絵」
昼でも夜でもない夕方がお好きとのことです。
映像・アニメーション作家でもあるようです。
§ 穴を掘る人
一番北側は、桑久保徹(くわくぼ・とおる)さんの「ROPPONGI SEASIDE TUNNEL」
桑久保さんは2011年に第3回絹谷幸二賞を受賞しています。
プレートには「繋がりを求めて、懸命に穴を掘り続ける人を描きました」とあります。最初に見たとき私は、むかし某国で経済活動を活発に見せるため、国民に大きな穴を掘らせ、その次に穴を埋め戻させた、という話を思い出しました。
§ 六本木トンネルのパブリックアートのまとめ
六本木トンネルに差し掛かって絵があるのを発見し、落書きでないことが分かると、「こんなところに絵があるんだ!」という感じです。トンネルの北はすぐ国立新美術館。アートはいろいろなところにありますね。きょうもいい一日になりそうです。
【 JAARAで散歩】アートを見る散歩
▽気鋭の書と大家の絵に圧倒される パブリックアートを見に明治神宮前<原宿>駅へ
▽有名彫刻家の作品を見に南麻布の有栖川宮記念公園へ
▽大画面の壁画の迫力 赤坂・六本木の地下鉄駅へ
▽スケールの大きなストリートアートを見に 北青山のブラジル大使館へ
▽ロアビルの囲いの壁面に現れた「kawaii」を見に六本木へ