【 JAARAで散歩】人と人とのつながりを思う 麻布十番にパブリックアートを見に行く

         

 この休みはどこかへ散歩に行こうかな。そんな時、街角の芸術=パブリックアート=を見に行くのはどうでしょう。麻布十番商店街には世界12カ国の作家のアート作品「微笑のモニュメント」シリーズが設置されています。今回は、人と人とのつながりを感じる作品を見てみます。フランス、オーストリア、オランダと欧州の国の作品です。
 神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布(JAARA)は歩くだけで楽しい街。目的があれば歩くのがいっそう楽しくなりますね。
※ JAARA(ジャーラ)は[神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布]の街の連なりを指す造語です。

§ 生きていること

 麻布十番商店街のほぼ中央、豆源さんの反対側のかりんとやさんの角に、ブロンズ像があります。
 

 
 一見すると立木の両側に2人の唐子がいるように見えますので、中国の作品?と思ってしまいましたが、フランスのジョルジュ・ジャンクロ(GEORGE JEANCLOS)さんという人のアダムとイヴ(ADAM & EVE)という作品です。
 

 
 ジャンクロさんは1933年、パリでユダヤ人の家庭に生まれ、第2次世界大戦後に13歳で彫刻を習い始めたといいます。パリ高等美術学校で勉強し、ルイ14世の創設というフランス政府の「ローマ賞」のグランプリを若くして獲得。ローマの「ヴィラ・メディチ」という芸術施設に留学し、バルテュスの元で学んだそうです。
 ミッテラン大統領が好んでおり、国家的な仕事に携わりました。シャンゼリゼ通りに設置された像など多くの作品に、この剃髪したような人物が登場しています。
 


 大戦中、ナチスがフランスを占領していた時期には家族で森に隠れ住んでいたといいます。命を守るためです。1944年のナチスによるユダヤ人虐殺をテーマにした作品も制作しています。ユダヤ人コミュニティーの崩壊を目の当たりにしており、「生命」と「信仰」を見つめた芸術家なのだと思います。アダムとイブも「生命」をテーマにしているのではないでしょうか。
 

§ つながっていること

 そこから少し行くと、赤いオブジェが見えてきます。
 

 
 タイトルは「カップル(THE COUPLE)」。作者はオーストリアのウイーンに住むヨーゼフ・アダム・モーザーさん。「絵画と彫刻の境界をなくすシンプルな構造をつくる」と紹介している記事がありました。
 
 通りから見ると、2つのパーツは出っ張っていて、つなぎ目は垂直ですが…
 

 
 裏はへこんでいて、つなぎ目が微妙に斜めです。
 
  
 
 違う2つがぴったり寄り添っているカップルです。

§ さがし求めること

 さらに西へいくと、通りの反対側(南側)に、はしご段が見えてきます。
 

 
 オランダのマーク・ブルース(MARK BRUSSE)さんの「はしごの上で微笑んで(SMILE ON THE FOOT OF THE LADDER)」です。
 オランダと聞くと、靴は木靴なのかな、と思います。
 

 
 はしごの最上段にカエルさんがいます。それで、想像するのはグリム童話の「かえるの王さま」です。木靴を履いた女性が王子さまを求めてはしごを昇っていくのでしょう。嫌ってののしった相手が、将来の結婚相手になることもあるのですね。
 

§ 人と人のつながりのアートのまとめ

 今回は、麻布十番商店街にある12カ国のモニュメントのうち、人と人とのつながりを想起させる作品を見てきました。人と人とのつながりというと、暗く寂しい気持ちになることもあるでしょう。けれど散歩をしているうちに思いや考えが変わるかもしれません。さあ、歩いてみましょうか。きょうもいい一日になりそうです。
 
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