今度の休日はどこか気持ちのいいところを散歩したいなあ、という時ありますよね。そんなとき、青山、赤坂へ現代日本の建築を見に行くのはどうでしょう。青山通り沿いには丹下健三さん設計の草月会館、日経カナダ人設計の大使館、お城のような区民センターなど、眺めたい建物が並んでいます。
神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布(JAARA)は歩くだけで楽しい街。目的があればいっそう楽しくなりますね。
※ JAARA(ジャーラ)は[神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布]の街の連なりを指す造語です。
§ 端正な広がり ~ カナダ大使館
東京メトロ青山一丁目駅の出口3を出ると、右側が青山一丁目の交差点。そこを右へ曲がって、青山通りを赤坂方面へ向かいます。
赤坂郵便局やコンビニを過ぎてしばらく行くと、右側にカナダ大使館があります。
通り沿いにはモニュメントがあり、カナダの歴史と自然を感じさせますね。
この建物を設計したのはレイモンド・モリヤマさんという日系カナダ人。エリザベス女王から勲章をもらっている著名な建築家だそうです。端正にして広がりのある建物です。
大使館の後ろは働く人たちの住宅のようで、ハロウィンの飾り付けをした窓がありました。
§ 丹下健三の建築 ~ 草月会館
大使館の先は高橋是清公園。高橋是清の邸宅があったところで、2・26事件の現場です。
その先に草月会館があります。いけばな草月流の本拠地です。
設計は丹下健三さん。広島平和記念公園の設計などで早くから外国に知られ、その後は代々木体育館や東京都庁などを手掛けています。
窓に映る緑は赤坂御用地の木々です。
建物の容姿はYouTubeでも紹介されています。
§ お城の船 ~ 赤坂コミュニティーぷらざ
さらに進んで薬研坂の横断歩道を越えると「赤坂コミュニティーぷらざ」が現れます。
大きな船のような形が壮観です。
港区の赤坂地区総合支所や赤坂区民センターが入っています。入口に近づくと……
エントランスはお城のような構えです。
横へ回ると……
3階にある赤坂区民ホールへつながる階段。舞踏会へ向かう雰囲気です。
設計は類設計室。この会社は、1972年、「時代は工業生産から人々の創造力を源泉とした意識生産へと転換する」と捉えた20代の6人の仲間で始まり、設立当初から全社員が経営に参画できるように、経理・財務などの全情報を公開、社員株主制を導入し、全社員が経営者として組織を運営しているとのことです。
§ 優美な曲線 ~ とらや
その先へ進んで赤坂警察署を過ぎ、弾正坂の横断歩道を越えると、羊羹で有名な和菓子の「とらや」があります。
設計は 内藤廣さんという人。伸びやかな曲線が優美です。設計事務所のHPによると、東京メトロ銀座線の渋谷駅、東京のちひろ美術館、京都の鳩居堂などを手掛けているということです。
§ 青山通りの現代建築のまとめ
青山通りを少し歩いただけで、さまざまな興味深い建物がありますね。「とらや」の向かいは豊川稲荷神社。もう少し歩けば赤坂見附ですので一休みしましょうか。きょうもいい一日になりそうです。
【 JAARAで散歩】これまでの「建築を見る散歩」
▽澄み切った空気を思い出す 大正・昭和の洋館を見に麻布へ
▽昭和初期の自由な空気を伝える現役の住宅 麻布台の『和朗フラット』へ
▽デザイナーズマンションの先駆けを見に 神宮前の「ビラ・ビアンカ」へ
▽建築界の巨匠、槙文彦さんの作品を見に 青山・麻布へ
▽競技場からお菓子屋さんまで 大物建築家・隈研吾さんの作品を見に青山へ
▽ヴォーリズの東京の建築を見に 東洋英和女学院へ