【 JAARAで散歩】ビルの谷間の神域 六本木・麻布の神社でタイムスリップする

         


 
 この休みは散歩に出かけますか? それなら現代な都市空間から一瞬タイムスリップする場所をたずねてみるのはどうでしょう。六本木と麻布の「龍土神社」と「櫻田神社」をご紹介します。喧噪の街のすぐそば、ビルの狭間に異空間が存在します。「港七福神」の二社ですから、御利益があるかもしれません。
 神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布(JAARA)は歩くだけで楽しい街。目的があれば歩くのがいっそう楽しくなりますね。
※ JAARA(ジャーラ)は[神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布]の街の連なりを指す造語です。

§ 龍が毎晩お参り

 地下鉄を六本木で降りて、ミッドタウンの向かいを国立新美術館の方へ向かいます。左側を歩いて行くと、建物の切れ目に緑が見えます。「おや、こんなところに…」と思うと、下へつづく道があり…

 その先には神社があります。〝六本木の氏神さま〟「龍土神社」です。
 正面に回るとこんな感じです。
 

 ビルの谷間です。
 
六本木 天祖神社 [龍土神明宮]
〒106-0032 東京都港区六本木7-7-7
[TEL] 03-3408-5898 [FAX] 03-3408-6130
社務所受付 午前9時から午後5時
六本木天祖神社[龍土神明宮]のHP
 
 鳥居のわきのポンプが現役なのにびっくりします。
 

 
 祭神は天照大御神(あまてらすおおみかみ)、伊邪那技命(いざなぎのみこと)、伊邪那美命(いざなみのみこと)
 南北朝時代の至徳元年(西暦1384年)から続くお社で、品川沖から毎夜、竜が御灯明を献じたという故事から「竜灯」と呼び、「竜灯」がなまって、この地を「竜土(りゅうど)」と呼ぶようになり、神社の名前も「龍土神明宮」と称えられたとのこと。1967年(昭和42年)までは麻布龍土町という町名が存在していました(現在は六本木7丁目)
 
 それにしても以前から「〝龍土〟ってなんだろう。もぐらは〝土竜〟だしなあ」と不思議に思っていました。謎が解けました。龍(りゅう)の灯(とう)だったのでした。
 
 境内にある「満福稲荷神社」には「福禄寿」を祀っています。なのでここは港七福神の「福禄寿」です。HPによると、福禄寿とは「人の一生の福(しあわせ)・禄(おかね)・寿(いのち)を司る神様です」。なんと!オールマイティー感がありますね。
 
 所在地の番地が「7-7-7」。縁起がいい!という人がいるのも頷けます。
 

 

§ 沖田総司が初宮参り

 ミッドタウンから六本木ヒルズ方面へ足を進めます。ヒルズの隣はホテル「グランドハイアット東京」。その向かいに「櫻田神社」があります。新選組の沖田総司が初宮参りをしたという神社です。
 

〒106-0031 東京都港区西麻布3-2-17
TEL:03-3405-0868  FAX:03-3405-6606
祭神は豊宇迦能賣神(とようかのうめかみ)
櫻田神社のHP
 
 ここも、ビルの狭間に「いにしえの残像」が出現した感じです。
 
 Wikipediaなどによると、1180年(治承4年)に霞山桜田明神として今の霞が関の桜田門あたりに創建されました。源頼朝が神領を寄進し、その田の畔に桜の木を植えたところ、大いに茂ったことからその辺りが「桜田」と呼ばれたようです(異説もある)。
 
 1624年(寛永元年)に江戸城御用地となったため麻布に移り、このとき地名も移動して「麻布桜田町」となりました。1967年(昭和42年)の町名変更で現在は「西麻布」。
 「桜田門」のあった桜田郷ですが、これがけっこう広い地域だったようです。(デジタル版「港区のあゆみ」
 
 一の鳥居をすぎると参道があります。神域に入っていく感じです。
 

 二の鳥居を過ぎると社殿があります。
 

 わきの福壽稲荷社に「壽老人」が祀られているとのことです。
 
 実は、この神社は新選組ファンの間では「沖田総司ゆかりの神社」として有名なようです。いろいろなサイトで取り上げられています。(「新選組観光ナビ」など)
 
 沖田総司は近くにあった白河藩の下屋敷で生まれ、お宮参りは櫻田神社だったということです。
 
 社殿の両脇の天水桶には「文政九丙戌歳」とあります。文政9年は1826年です。二の鳥居には「文政十三庚寅年」とあります。1830年です。

 
 沖田総司の生まれは天保13年、1842年とされていますから、沖田総司のお宮参りの時、この天水桶も鳥居も境内にあったのだと思われます。そうと考えると不思議です。
 
 若い女性が参拝に訪れていました。沖田総司に関心があったのかもしれません。それとは別、地元の人たちもお参りに来ているようでした。
 

 

§ 港七福神めぐり

 今回の二社は、港七福神の神様です。元日から成人の日までの七福神めぐりの期は、御朱印と御朱印帳の特別バージョン期間と重なるようです。
 
 龍土神社は御朱印と御朱印帳について「天祖神社の御朱印は、元旦から成人の日までと毎月の辰の日のみ授与所にて午前9時から午後5時まで受け付けております。港七福神福禄寿の御朱印は元旦から成人の日まで受け付けております。天祖神社の御朱印帳は、上記期間に限らず授与しております」とのこと。ご確認の上お参りを。
 
 櫻田神社は御朱印だけでなく御朱印帳にも期間限定の特別バージョンがあり、手に入れられるチャンスが限られているようです。これも確認してみてください。櫻田神社(@Sakuradajinjya)さん / Twitter というツイッターでの発信があるようです。
 
 令和4年の港七福神めぐりは終了。令和5年は1月1日~9日の予定とのことです。港七福神めぐりの公式サイトを確認してみてください。
 港七福神めぐり公式サイト

§ 都会の異空間のまとめ

 近現代の都市空間の狭間に存在する神社。そこにはうるおいと神秘性があります。静かに佇めば、時空を超えた何かを感じるかもしれません。きょうもいい一日になりそうです。
 
【 JAARAで散歩】これまでの「六本木で散歩」
 ▽芸術としてのベンチとベンチとしての芸術 六本木・けやき坂へパブリックアートを見に行く
 ▽若手アーティストの壁画を見に 六本木へ
 ▽大画面の壁画の迫力 赤坂・六本木の地下鉄駅へ
 ▽雨に消える透明な椅子 六本木・けやき坂のパブリックアート