「飯倉雁木坂児童遊園(いいくらがんぎざかじどうゆうえん)」という不思議な公園があります。桜田通りと外苑東通りの交差する飯倉の交差点から直線で約100mという都会のど真ん中にありながら、たどり着くのが難しい場所。人知れず存在する不思議な空間です。奥には古ぼけた牢屋のような構造物があり、地下へとつながっているのでした。
神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布(JAARA)は歩くだけで楽しい街。目的があれば歩くのがいっそう楽しくなりますね。
※ JAARA(ジャーラ)は[神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布]の街の連なりを指す造語です。
§ 不思議な場所、不思議な空間
どうしてここにあるのか、誰が来るためにあるのか、分からない場所にあります。
■飯倉雁木坂児童遊園|港区ホームページ
表通りからの行き方は2とおり。1つは「雁木坂(がんぎざか)」から。階段状やはしご状の坂を一般に「雁木坂」というようです。港区では、飯倉から少し入った霊友会の釈迦殿の前に「雁木坂」があります。坂の名前が「雁木坂」です。
上る途中、左に折れる道があります。
そこを進みます。この先にほんとに公園があるんかいと思います。
しばらく行くと、たどり着きます。
もう1つ、外苑東通りから行く時は、狭い路地を入っていきます。
こちらも、ほんとにこの先に公園があるんかいと思います。
§ 地下鉄の音
公園の奥には、古びた構造物があります。
立ち入り禁止と書いてあります。
牢屋のような雰囲気です。
前にある網状の敷板は、地下鉄の排気口で使われていますね。
この牢屋へ通じる細い路が公園の横を通っています。フェンスで囲われ、こちらも立ち入り禁止です。
途中の表示を見ると、東京メトロの施設のようです。
実は、この牢屋は、東京メトロ・日比谷線の飯倉変電所の換気口なのでした。このサイトに詳しく書いてありました。
■日比谷線はどこを走っているか(その1) 飯倉交差点付近 – 境目と鉄道
通りを1本隔てたところにビルがあり、その下を日比谷線が通っているようです。
そのビルに変電所の入口がありました。
公園の牢屋は反対側の段差の下から見るとこんな感じ。このずっと下に変電所があるのでしょう。
公園に戻って牢屋のそばでしばらく耳を澄ましていると、地下鉄が通過したようです。車輪の軋みと、ガタンゴトンという規則正しい音がはっきりと聞こえました。
§ 人が来ない場所
それにしても、あまり人が来ません。
表札の裏は水道になっていました。
170㎡ほどの園内では、腰掛けが所在なくたたずんでいます。
奥の方は草ぼうぼう。どうにも中途半端です。
でもそこがいいところ。なんとなく親しみを感じます。白い花が咲いていました。
§ 飯倉雁木坂児童遊園のまとめ
不思議な公園です。知っている人はほとんどいないでしょう。東京タワーと六本木の中間にあるので、散歩コースの途中といえば途中です。芝公園から飯倉交差点を過ぎ、ロシア大使館や麻布台ヒルズの様子を見て六本木に抜ける途中に立ち寄ってみてはどうでしょう。きょうもいい一日になりそうです。
【 JAARAで散歩】これまでの「麻布で散歩」
▽澄み切った空気を思い出す 大正・昭和の洋館を見に麻布へ
▽千年の伝説がある神社、お寺をめぐりに麻布へ