英国のチャールズ3世の戴冠式に秋篠宮夫妻が参列する理由の一つが「外国の国王の即位式に天皇が参列した前例はない」ということだ。皇室には皇室の行動を決める「規範」がある。よく行われるのが「前例踏襲」だが、「理念」に基づいて、前例を変える場合もある。今回は皇室の行動の「規範」、前例と理念について考えてみたい。
皇室の規範とは―前例と理念
皇室が行動を選択する際に「前例」を参考にする(規範にする)。前例は過去の判断の積み重ねなので、その裏側には理念がある。ある前例の裏側にある理念を考えていくことで、その前例を踏襲するのがふさわしいのか、前例を破っていいのかが分かってくる。
大前提が変われば前例遵守も変化する
戦前は皇室親族令(7条)で、天皇のお嫁さんは皇族か一部の華族と決まっていた。皇太子もそうだったが、戦後、明仁皇太子(現上皇)は、皇族でも華族でもない正田美智子さん(上皇后)と結婚した。皇室では前例のない、初めてのことだった。
皇室親族令は1947年に廃止されていたものの、前例違反のように考える人もいた。例えば旧皇族梨本宮の伊都子妃だ。明仁皇太子と美智子さんとの結婚について日記に、「あまりにも かけはなれたる はなしなり 吾日の本も光おちけり」と記していた。
前例破りがふさわしい
とはいえ、憲法という大前提が変わり、皇室の立場も変わったので、以前と同じにする必要がない。というより、皇室についての「理念」が変わったのだから、前例を破って変わる方がふさわしい。明仁上皇が前例を踏襲して別の人と結婚していたら、皇室は、今とは別の姿になっていただろう。
例える「前例」がないマンデラさん
明仁上皇は在位中、いろいろ〝前例のない〟ことをしている。例えば、ネルソン・マンデラさんの死去に際し、追悼式(2013年12月10日)に徳仁皇太子を参列させた。日本の皇族はそれまで、王族以外の葬儀で外国へ行ったことがなかった。
この場合、ネルソン・マンデラさんは「比肩すべき対象がない偉大な人物」と考えれば、その葬儀は「前例のない葬儀」なわけだから、前例を考える必要がない。
追悼式には、オランダ、ベルギーの国王、英国のチャールズ皇太子も参列しており、皇室のあるべき姿、「理念」から考えれば、偉大な人物に弔意を表すのがふさわしいと考えられる。
前例のない沖縄県知事
〝前例のない〟こととして、明仁天皇(当時)は、初代沖縄県知事を務めた屋良朝苗さんの死去に際して花を供している。それまで、現職の知事が亡くなった場合は花をおくったが、現職ではない知事経験者の死去に花をおくったことはなかった。
この場合も、沖縄の復帰を成し遂げ初代の知事となった屋良さんを〝前例のない知事〟、偉業に尽力した人物と考えれば、皇室として追悼することに納得がいく。
理念による判断
皇室の前例のない行動としては、東京五輪を招致する際、高円宮の久子妃らが招致活動に携わったことがある。久子妃は、2013年9月7日、アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会で、チームジャパンのプレゼンに先立ってスピーチした。日本の皇族がIOC総会でスピーチするのは初めてだった。
明仁天皇はこの行動に懸念を持っていたとされる。それは前例がないからばかりではない。天皇、皇室は政治に関わらないということだけでもない。
日本の皇室としての理念
国と国とが誘致を争い、その結果、勝者と敗者が生じるような事柄に、皇室は関わるべきでない、という考え方からだ。スペインの皇太子が誘致のスピーチをするのはスペイン王室のやり方だからいいとして、日本の皇室としては、「理念」に反すると考えたのだろう。
前例には使いようがある
前例踏襲は消極的なイメージがある一方で、使いようもある。簡潔な理由付けになる。
今回天皇が参列したとすると、その後、別の国で国王が即位する時に、毎度毎度、天皇が参列するのが当たり前になる。
なにか別の事情で参列できない時、「英国には参列してウチには参列しないのか、ウチが格下ということか」と言われても、簡潔に理由を説明するのが難しい。行かないのが前例であれば、「前例がそうですから」ですむ。
前例を破るまでもない
一方、理念との関係でも、今回前例を破ってまで天皇が参列する必要はないだろう。
週刊誌の見出しにあるように、チャールズ国王が徳仁天皇に来てもらいたいと思っているのが事実として、一部の国民が徳仁天皇に参列してもらいたいと思っているのが事実としても、この場合の国王の意向や国民の望みは、皇室の存在の基盤になる「理念」を左右するまでのものではない。
理念を決めるのは誰か
では、皇室の行動選択の基になる「理念」は誰が決めるのか。前例を破る時に持ち出す理念は、その時々の社会状況、国民の「信念」が影響すると思われる。
決定づけるのは国民の考え
天皇、皇族本や政府・宮内庁は「理念」を考えるが、それを決定づけるのは、「国民がどう考えるか」だ。皇室は「国民がどう考えるか」に敏感であるべきだし、現に敏感になっている。前例をくつがえす力の源泉は国民だ。
本質をとらえた上での「考え」
では、どうやって、国民が「どう考えているか」を判断するか。例えば「愛子天皇論」がある。「愛子内親王は清廉そうだしは賢そうなので、天皇になるべきだ」との考えがあった時、それが天皇の在り方の本質にさかのぼって考えているかどうかを判断することになる。
「秋篠宮家は評判が悪いので、愛子内親王の方がいい」ということなら、天皇の在り方の本質にさかのぼった考えとは言えない。
考えるチャンスを増やしたい
とはいえ、天皇の在り方を本質にまでさかのぼって考えることはほとんど困難だ。知識がないし、筋道が分からない。なんだか怖そうだし、めんどくさそうだ。
だからこれから、少しでも、国民が天皇の本質を考えてみる機会を増やしたい。制度が変わる状況をつくるなら、日ごろ考えるチャンスを増やすことが必要だ。
(2023.3.19 皇室王室勉強家・以出江 凡)
§ 雑誌の主な見出し
『FRIDAY』デジタル
■学習院高校→早大理工学部卒25歳の名前が出ているが…相次ぐ「愛子さまのお相手候補」報道の裏事情 | FRIDAYデジタル (kodansha.co.jp)
■50億円の新居に一人だけ移らず…宮内庁に衝撃が走った秋篠宮さまと佳子さま「引っ越しバトル」の行方 | FRIDAYデジタル (kodansha.co.jp)
『週刊女性』 2023年月日号:
■紀子さま[56]「悠仁さま[16]各誌[国民敬遠]」で悪循環
■雅子さま[59]「反戦イエロー」で交わされた約束
『女性自身』 2023年月日号:
■愛子さま(21)お婿様候補に急浮上![村上天皇末裔][東大卒の]華道王子(31)
◇愛子さま“お婿様候補”に東大卒のハイスペ華道王子が急浮上!村上天皇の末裔で祖母は元副大臣 | 女性自身 (jisin.jp)
『週刊新潮』 2023年3月23日号:3月16日発売
■「チャールズ戴冠式」に「秋篠宮[ご夫妻]」で抗議殺到 ▼[「天皇〝ヒロ〟に来てほしい」]英国王の願いを無視する[宮内庁] ▼張り切る[紀子さま]に恥辱の末席 [雅子皇后][愛子さま]切望の〝民の声〟
◇英国王戴冠式にご出席の秋篠宮ご夫妻は“色眼鏡”で見られてしまう? 小室圭さん騒動が現地でも話題に(全文) | デイリー新潮 (dailyshincho.jp)
『週刊文春』 2023年3月23日号:3月16日発売
■[ワイド ワイルドピッチ][佳子さま]英語が激変!つながる眞子さんへの道
『女性セブン』 2023年3月30日号-4月6日号:3月16日発売
■皇后雅子さま[59]「愛子さま[21]への過干渉」で迷想の女帝論
■秘話 上皇后美智子さま[88]極秘弔問 陛下[63]に読み聞かせられた『ぐりとぐら』絵本編集者と最後のお別れ
§ フィーチャー
『FNN』
◇平和への思い、希望の「春」、天皇陛下と皇后さまとの初めての出会い…63歳の誕生日映像とおことば【皇室親話】|FNNプライムオンライン
◇紀子さまをくまモンが歓迎!復旧進む熊本城、ハンセン病療養所ご視察|FNNプライムオンライン
§ 日誌
天皇 皇后 愛子内親王
▽3月11日(土曜)
【天皇・皇后・愛子内親王】東日本大震災の発生日に当たり黙とうし、犠牲者を悼んだ(皇居・御所)
▽3月13日(月曜)
【天皇・皇后】長年にわたる功労で警察庁長官表彰を受けた全国優秀警察職員95人と面会(皇居・宮殿「春秋の間」)
【天皇・皇后】アンゴラのロウレンソ大統領夫妻と会見(皇居・御所)
上皇 上皇后
▽3月11日(土曜)
【上皇・上皇后】東日本大震災の発生時刻に合わせて黙とう(東京・元赤坂の赤坂御用地にある仙洞御所)
▽3月12日(日曜)
【上皇后】昨年1月に死去した児童文学者、松岡享子さんが名誉理事長を務めていた「東京子ども図書館」(東京都中野区)を訪問。12日に行われた「感謝する会」に先立ち献花
◇上皇后さま 翻訳家・児童文学者の松岡享子さんを弔問される (ntv.co.jp)
秋篠宮家
▽3月10日(金曜)
【秋篠宮・紀子妃】東京大空襲の犠牲者の遺骨が納められている東京都慰霊堂(墨田区)で営まれた法要に参列
◇東京大空襲から78年…戦災・震災犠牲者慰霊の法要 4年ぶり一般遺族の参列が可能に (ntv.co.jp)
▽3月13日(月曜)
【秋篠宮・紀子妃】5月に予定される英国のチャールズ国王の戴冠式に、秋篠宮ご夫妻が参列される方向で準備すると宮内庁が明らかにした
◇英チャールズ国王の戴冠式 秋篠宮ご夫妻出席で準備 宮内庁 (tv-asahi.co.jp)
◇英国王「戴冠式」秋篠宮ご夫妻参列で準備へ 両陛下にも相談、天皇が外国の戴冠式に参列した例がないことなども考慮 (ntv.co.jp)
▽3月16日(木曜)
【佳子内親王】「左近の桜」植樹式典出席などのため、日本三名園の一つ、水戸市の偕楽園を訪問。式典に先立ち、県立水戸聾学校で手話を使って生徒たちと交流
◇佳子さま、手話交え透明マスクで子供らと交流「みんな図工が好きなんですね」ろう学校をご訪問 茨城|FNNプライムオンライン
◇佳子さま 桜を植樹 耳元にも“桜の花”|FNNプライムオンライン
◇佳子さま ノーマスクに“桜”のイヤリング 水戸・偕楽園で植樹式|FNNプライムオンライン
◇佳子さまがノーマスクで皇室ゆかりの左近の桜を植樹 | TBS NEWS DIG
◇佳子さま、“皇室ゆかりの桜”植樹式に出席 茨城・偕楽園 (ntv.co.jp)
◇佳子さま桜の植樹式にご出席 皇族の人生の節目に彩りを添えた“桜” (ntv.co.jp)
宮家
▽3月15日(水曜)
【高円宮の久子妃】各国の駐日大使らがそれぞれの視点で日本を撮影した写真展「にっぽん―大使たちの視線2022」のオープニングセレモニーに出席(横浜市のギャラリー)
宮内庁
▽3月13日(月曜)
▼宮内庁池田憲治次長は13日の定例記者会見で、5月に予定される英国のチャールズ国王の戴冠式に、秋篠宮夫妻が参列される方向で準備すると明らかにした
▽3月15日(水曜)
▼宮内庁は春恒例の皇居・乾通りの一般公開を25日から4月2日までの9日間、実施すると発表
▼皇室ゆかりの美術品などを収蔵、展示する皇居・東御苑の「三の丸尚蔵館」の建て替え工事が一部終了し、報道陣に公開された。新館は今秋開館予定
一般
▽3月15日(水曜)
【スペイン王室】スペイン政府は14日、レオノール皇太子(Crown Princess Leonor)が9月から3年間、即位に備え軍の士官学校で学ぶと発表。レオノール皇太子は国王フェリペ6世(King Felipe VI)の長女で10月に18歳となる
◇スペイン皇太子、3年間の軍事教練へ 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
◇スペインのレオノール王女、軍で3年間の訓練 将来の即位に備え(1/2) – CNN.co.jp
宮内庁HP
【天皇皇后両陛下のご日程 令和5年(1月~)】
【秋篠宮家の御日程 令和5年(1月~)】
皇室ウイークリー 産経新聞
皇室7days 朝日新聞DIGITAL
これまでの【皇室の話題】
<▽皇室の生きづらさとは(2023年4月7日~13日)
▽天皇の「お得感」の歴史的な変遷とは(2023年3月31日~4月6日)
▽天皇・皇室についてもやもやした時に考えてみること
▽愛子内親王の結婚報道で迷惑するのは誰か(2023年3月17日~23日)
▽天皇は男系男子でなければだめなのか(2023年3月3日~10日)
▽国際関係での皇室の「お得感」とは(2023年2月24日~3月2日)
▽皇室の存在の「お得感」とは何か(2023年2月17日~23日)
▽皇室の情報発信 何を伝えるのか(2023年2月10日~16日)
▽あるべき姿、役割をどうとらえるのか(2023年2月3日~9日)
▽佳子内親王が願う「幅広い選択肢を持てる社会」(2023年1月27日~2月2日)
▽愛子内親王の和歌に注目集まる(2023年1月20日~26日)