【皇室の話題】愛子内親王の和歌に注目集まる(2023年1月20日~26日)

         


 
 1月18日に「歌会始の儀」が開かれ、そこで披露された愛子内親王の歌が週刊誌の話題となっている。「もじぢ葉の散り敷く道を歩みきて浮かぶ横顔友との家路」という歌について、識者の話を引用して絶賛している。
 『週刊文春』は、昨年暮れに皇室の和歌の相談役(御用掛)に就任した永田和宏氏の次の言葉を紹介している。「言葉選びが若々しく清潔な印象で、素直なとてもよい歌だと感じました」「ご自分のことを詠っているのですが、背後に今の社会を如実に色濃く反映しているところが、素晴らしいと思います」
 

§ 愛子内親王の才能と天皇の教育方針

 この話題の記事を読んで関心が向くのは、愛子内親王の才能より、徳仁天皇の教育方針である。徳仁天皇が憲法の「象徴」をどうとらえているか、の背景が見て取れるように思えるからである。

愛子天皇はアイドル

 週刊誌で報じられる皇室(皇室のメンバー)への視線は、スターないしアイドルへのそれと共通している。皇室のメンバーは有名人であり、それゆえ関心を集める。憧れと言ってもよいし、「イイ感じを共有できる」という点で、愛子内親王はアイドルである。
 ただ、その「イイ感じ」は容姿がかわいらしいとか歌がうまいとかいう資質に発しているわけではなく、「皇族である」ことに源泉がある。

憲法は皇室に「優れている」ことを求めていない

 日本国憲法は、天皇は「日本国および日本国民統合の象徴」であるとし、その役割だけを求めている。天皇が優れていることを求めていない。ましてや皇族は「天皇の家族」であり、「優れている」ことを全然求められていない。

「日本国民統合の象徴」は決められていない

 同時に、「日本国民統合の象徴」がどうあるのが望ましいかについて、憲法が定めているわけではない。それゆえ、明仁上皇はそれを模索してきた。

和歌は日本の伝統文化

 その中で、和歌は日本の人々の伝統的な文化である。ことに、国民と皇室とが「歌会始の儀」を通じて日本の和歌という伝統文化を共有してきた明治以来の伝統がある。
 「国民統合の象徴」として、和歌に親しむことは、天皇としてふさわしいことであろう。同時にそれは、皇族にとってもふさわしいことであろう。

皇室のひとつの姿

 徳仁天皇は、日本の伝統文化に親しむ皇室の姿を考えていたのではなかろうか。
 『週刊文春』は、2005年(平成17年、皇太子時代)の徳仁天皇の誕生日記者会見を紹介している。天皇はその時、年末年始に餅つきやカルタ、書初めなどを愛子内親王と一緒にしたと述べた後、次のように話している。
 「愛子には七五調の使われている童謡などを通して自然にこのリズムが身に付き,簡単な七五調の言葉遊びが楽しめるようにと思っています」

七五調だけでなく

 こうした教育方針は、七五調の歌の文化だけでなくさまざまな面に及んでいるのではなかろうか。愛子内親王の育ち方、現在のありようの背景に、徳仁天皇自身の「皇室観」が反映されているかもしれない。

人々が求める「優れている」皇室

 憲法が天皇に「優れている」ことを求めていない半面、人々は皇室メンバーに「優れている」ことを求めているように思う。これは「皇室の伝統」をイメージしているからだろう。「優れている」とは、「頭がいい」とか「芸術的才能がある」とかいうことより、「思いやりがある」「人の心の痛みが分かる」といった面に比重がある。それが「あるべき皇室の資質」と重なっている。

愛子天皇論に拍車

 今回は愛子内親王の「文才」にスポットが当たったが、それだけでなく「人々の心に寄り添える存在である」とのイメージを醸し出すような記述をしている記事もある。愛子天皇論を盛り上げる効果があるだろう。

§ 週刊誌の主な見出し

『週刊新潮』 2023年2月2日号:1月26日発売
 (グラビア)小室圭さんと眞子さんのツーショット
 
『週刊文春』 2023年2月2日号:1月26日発売
 ■歌会始選者が感嘆 「歌人・愛子さま」を生んだ早期教育
 雅子さまが新年行事で“皇太子妃時代のドレス”を選ばれた理由「これまで交流してこられた方々や国民への想いが…」
 
『女性セブン』 2023年2月9日号:1月26日発売
 (グラビア)歌会始
 ■紀子さま[56]卒倒!実弟のビジネスパートナーが恐喝[事件]で逮捕
 ■愛子さま[21]圧倒的「文章の天才」短編小説&研究論文[全文公開]
 
『女性自身』 2023年2月7日号:1月24日発売
 (グラビア)皇宮警察年頭視閲式、歌会始
 ■雅子さま[59]「愛子の悪口は許さない」異例!皇宮警察を陣頭視察に母の覚悟
 ■絶賛の和歌!愛子さま[21][文武両道]最強女帝の再来
 
『週刊女性』 2023年2月7日号:1月24日発売
 (前グラビアはなし、後ろグラビアで)「祝・ご成婚30周年」写真展を開催の告知
 ■雅子さま[59][ショック!]愛子さま[21]漏らされた1000日の孤独

§ 日誌

天皇 皇后 愛子内親王

▽1月20日(金曜)
【天皇・皇后】皇宮警察本部の年頭視閲式を視察(皇居・東御苑)

 
▽1月23日(月曜)
【天皇】第211通常国会が召集され、参院本会議場に天皇を迎えて開会式

 
▽1月25日(水曜)
【天皇・皇后】福島県三島町の特別養護老人ホーム「桐寿苑(とうじゅえん)」を視察(皇居・御所からオンラインで)9月の敬老の日にちなんだ行事だが、英エリザベス女王の国葬参列などで日程の都合が付かずこのタイミングに

 

秋篠宮家

▽1月19日(木曜)
【秋篠宮】総裁を務める日本動物園水族館協会の行事出席などのため広島県を訪れ、広島市の平和記念公園にある原爆慰霊碑に供花。公園内の被爆遺構展示館と原爆資料館も視察
▽1月20日(金曜)
【秋篠宮】日本動物園水族館協会の総裁として広島市の安佐動物公園を視察。同日帰京

▽1月23日(月曜)
【佳子内親王】第45回聴覚障害児を育てたお母さんをたたえる会の式典に出席(東京都渋谷区の青山学院講堂)

 
▽1月25日(水曜)
【佳子内親王】名誉総裁を務める日本テニス協会の創立100周年記念式典に出席(東京都港区のホテル)

 

一般

▽1月22日(日曜)
【英王室】は21日、首都ロンドンで5月6日に執り行われるチャールズ国王の戴冠式を巡る一連の行事の概要を発表。前後に大規模な行進や祝賀コンサートの開催を予定している
 
宮内庁HP【天皇皇后両陛下のご日程 令和5年(1月~)】
宮内庁HP【秋篠宮家の御日程 令和5年(1月~)へ
 
皇室ウイークリー 産経新聞
皇室7days 朝日新聞DIGITAL
 
これまでの【皇室の話題】
▽皇室の生きづらさとは(2023年4月7日~13日)
▽天皇の「お得感」の歴史的な変遷とは(2023年3月31日~4月6日)
▽天皇・皇室についてもやもやした時に考えてみること
▽愛子内親王の結婚報道で迷惑するのは誰か(2023年3月17日~23日)
▽天皇、皇族の行動を決めるのは前例と理念(2023年3月10日~17日)
▽天皇は男系男子でなければだめなのか(2023年3月3日~10日)
▽国際関係での皇室の「お得感」とは(2023年2月24日~3月2日)
▽皇室の存在の「お得感」とは何か(2023年2月17日~23日)
▽皇室の情報発信 何を伝えるのか(2023年2月10日~16日)
▽あるべき姿、役割をどうとらえるのか(2023年2月3日~9日)
▽佳子内親王が願う「幅広い選択肢を持てる社会」(2023年1月27日~2月2日)