女性誌3誌のグラビアにすべて佳子内親王が登場している。フォトジェニックであることに加え「花」の展覧会の場面があったからだろう。華やかなシーンやファッション以外に、佳子内親王に注目していてよい点がある。スピーチだ。「幅広い選択肢を持てる社会を願う」と繰り返し述べている。
ジェンダー平等と皇室の行方 佳子内親王のスピーチから考える
佳子内親王の昨年の誕生日に際し、宮内庁は近況を紹介する中で、彼女が「誰もがより幅広い人生の選択肢を持ち、可能性を最大限生かす道を選べるようになることが、当たり前の社会になることを願っている」とした。
狭められている選択肢の幅をより広く、小さくされている人生の可能性を最大限に、ということであろう。
宮内庁が勝手に「願っている」と判断するわけにはいかないので、本人が「願っている」と紹介されることを願っていると考えてよいだろう。
皇族に「幅広い人生の選択肢」はあるか
彼女は2022年10月16日、ガールスカウト日本連盟が主催して東京都渋谷区で開かれた「ガールズメッセ2022」に出席。あいさつで「ジェンダー平等が達成され、誰もがより幅広い人生の選択肢を持てるようになることが当たり前の社会になることを切に願います」と述べた。
2023年01月23日には、東京都渋谷区の青山学院講堂での「第45回聴覚障害児を育てたお母さんをたたえる会」の式典に出席。手話を交えて6分間以上あいさつし、「社会全体の理解がさらに深まり、誰もが安心して暮らせる社会になること、誰もがより幅広い選択肢を持てる社会になることが、当たり前になることを願う」とした。
ジェンダー平等も聴覚障害への理解の深化も、いわば「障壁を乗り越える」という話だ。戦前まで女性は、参政権がないなど男性との間に障壁があった。「障がい」のある人は社会の仕組みやしつらえにより生きづらい局面がある。状況はよくなりながらも、壁がなくなったわけではない。それを乗り越えたい。
皇室は、特権的な利益や機会を得ている半面、基本的人権が制約されている点では一般国民との間に「障壁」のようなものがある。皇族は「幅広い人生の選択肢」を持ちにくいともいえる。彼女のスピーチの背後に、自分の置かれている状況を考えざるを得ない事情があるようにも思えてくる。
共有する考え方と制度の齟齬
ジェンダーの平等、ジェンダーフリーは国民の多くが支持している。岸田文雄首相の秘書官の荒井勝喜氏が2月3日、性的少数者について「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ」と発言したのに対し、首相が4日、「多様性を尊重し包摂的な社会を実現していくとする内閣の考え方に全くそぐわない、言語道断の発言だ」として荒井氏を更迭したのは、多くの国民の考えが背景にあるからだろう。
この考え方は内閣だけでなく、皇室も共有している。佳子内親王の父親の秋篠宮は、このような考え方を強く持っていることが知られている。原武史・放送大教授は「令和の皇室は、ジェンダー平等を積極的に進めていることをさらにアピールする必要があるように思います」と述べている。
だが突き詰めると、皇室典範が皇位継承資格を「皇統に属する男系男子」に限っていることとジェンダー平等との齟齬を考えなくてはならなくなる。
どこまで考慮しているか
佳子内親王がどこまで考えているのかは分からない。制度について皇室が口出しするのははばかられる。制度を決めるのは国民、政府だ。もしかすると佳子内親王は、国民、政府にさまざまな波紋、影響が広がることを考慮に入れているのかもしれない。
(2023.2.5 皇室王室勉強家・以出江 凡)
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【天皇】旬祭(皇居・宮中三殿)旬祭は毎月1、11、21日に行われており、天皇は原則として月初めの1日に拝礼する
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▽1月30日(月曜)
【三笠宮の彬子女王】孝明天皇山陵例祭の儀(京都市の孝明天皇陵「後月輪東山陵(のちのつきのわのひがしのみささぎ)」)
宮内庁
▽1月31日(火曜)
【宮内庁】2月23日の天皇誕生日に皇居で実施する一般参賀に6万1031人の応募があり、4826人が当選したと発表。倍率は12.6倍
一般
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宮内庁HP【天皇皇后両陛下のご日程 令和5年(1月~)】
宮内庁HP【秋篠宮家の御日程 令和5年(1月~)】
皇室ウイークリー 産経新聞
皇室7days 朝日新聞DIGITAL
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▽皇室の生きづらさとは(2023年4月7日~13日)
▽天皇の「お得感」の歴史的な変遷とは(2023年3月31日~4月6日)
▽天皇・皇室についてもやもやした時に考えてみること
▽愛子内親王の結婚報道で迷惑するのは誰か(2023年3月17日~23日)
▽天皇、皇族の行動を決めるのは前例と理念(2023年3月10日~17日)
▽天皇は男系男子でなければだめなのか(2023年3月3日~10日)
▽国際関係での皇室の「お得感」とは(2023年2月24日~3月2日)
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