【皇室の話題】皇室の生きづらさとは(2023年4月7日~13日)

         


 
 愛子内親王が学習院大に通学するところが報じられた。コロナ禍の状況は落ち着きつつあり、キャンパスにも活気が戻ることだろう。新学期を迎えた愛子内親王、悠仁親王も同級生たちと同じように学校生活を過ごすように見えるが、皇族であることでさまざまな生きづらさ抱えていると思う。今回は、その生きづらさについて少し考えてみたい。

¶ 皇族の生きづらさとは

 皇室の人たちは生活に不自由していないように見える。いい所に住んで、いい服を着て、おいしい食事をしていると考える。そうかもしれないが、一方で、その人たちは、生きづらさを抱えさせられている。
 その生きづらさは ①脱出できない ②「いい人」であることを要求される ③嫁いできた女性であれば男子の出産を求められる―という点だ。
 天皇と皇族は憲法の上でも特別な存在だ。その「特別である」というとき、生きづらさに着目していると、考えを進めやすい。

脱出できない

 天皇、皇族は法律で基本的人権が制約されている。よく知られているように、職業選択の自由、住居移転の自由がない。参政権がない。
 人権がないこととともに、人権がない状態から脱出できないことが、大きな生きづらさの要因となっている。
 天皇、皇太子については、よほどのことがないとやめられないことが法律で決まっている。法律で立場が厳然と縛られている。
 では、そうでない皇族は脱出できるのか。容易でない。なぜなら、皇族の身分を放棄することは「身勝手だ」と国民が思うだろう、と考えるからだ。
 法律にも匹敵する「皇室の掟」といってもよい制約が皇族を縛っており、生きづらさの原因になっている。

「いい人」であり続ける

 皇室の権威の源泉はむかしから「人徳」にあると考えられている。
 普通の人がふだんどれほど意識しているかは別として、これまで皇室の存在意義を考えてきた人たちは、共通して天皇、皇族が「道徳的存在」であることを特徴として挙げている。
 天皇、皇族が道徳的な存在「いい人」でなくてはならないという法律はない。しかしこれも天皇、皇族にとっては法律に匹敵する「皇室の掟」だ。
 これに違反するとどうなるか。小室眞子さんのように広範な非難をかぶせられることになる。

「SPARE」の出産

 皇族は天皇を周囲から支える存在だ。皇位継承という観点から、ヘンリー王子が「SPARE」という本を書いた事情は、日本でも同じだ。皇族とは「SPARE」と「その家族」だ。
 日本では、「SPEAR」は男子しかなれないから、皇室の女子は「SPARE」になれる男子を生まなくてはならない。それが彼女らの存在価値だ。
 このような立場に行きづまり、危うい状況に陥ったケースを、私たちはすでに知っている。

「お得」と「生きづらさ」

 皇室が存在するのは私たちにとって「お得」だからだと考えると、天皇と皇族は、私たちの「お得」と引き換えに「生きづらさ」を耐え忍んでいる。
 そうとすると、私たちが享受する「お得」度が減らない限りにおいて、天皇と皇族の生きづらさの原因になっている法律や「掟」を変更したほうがよいだろう。天皇も皇族も人間であって、私たちは他の人間が不幸になることを望んでいない。

過去と未来

 法律は私たち有権者が作っている。だから国会で法律を変えることができる。
 では「掟」を作っているのは誰か。皇室が自律的に作っている面も含め、「掟」の背景にあるのは国民の皇室に対する考え方、「意識」だ。
 「意識」は人によってさまざまで、振れ幅が広い。強弱も人によって異なる。
 「意識」で何を重視するのか。ある人たちは「千年以上続く皇室の歴史」を重視する。その人たちにとっては、それが皇室の「お得感」の源泉かもしれない。
 だが、現代の皇室の「お得感」は歴史だけにあるのではない。歴史の過度の重視をやめれば、「お得感」と「生きづらさの解消」を両立できるかもしれない。
 千年の過去を意識するのと同時に、50年後100年後に私たちはどうなりたいのかを意識する。長いスパンの過去と、長いスパンの未来と、両方を考えていたいと私は思う。
 (2023.4.16 皇室王室勉強家・以出江 凡)

¶ 日誌

天皇 皇后 愛子内親王

▽4月10日(月曜)
【天皇・皇后・愛子内親王】静養先の栃木県から帰京
▽4月11日(火曜)
【天皇】皇居内の生物学研究所脇にある苗代に、うるち米のニホンマサリと、もち米のマンゲツモチの種もみをまいた
【天皇・皇后】ヨルダンのアブドラ国王夫妻らと会見。天皇は「ヨルダンが多くのシリア難民を受け入れ、人道面で大変な努力をしていることに敬意を表します」と述べ、同行したフセイン皇太子が近く結婚することに祝意を伝えた。25分間の会見は全て英語で通訳を介さなかった
▽4月12日(水曜)
【愛子内親王】東京都豊島区の学習院大に通学したことが報道される。今後は基本的にキャンパスに通い、卒業論文などに取り組む▽4月13日(木曜)
【天皇・皇后】優れた科学技術の成果を対象とする2023年日本国際賞の授賞式に出席(東京都千代田区の帝国ホテル)

秋篠宮家

▽4月10日(月曜)
【秋篠宮・紀子妃】来日したヨルダンのフセイン皇太子と面会。約30分間、通訳を介さず、英語で懇談(東京・元赤坂の赤坂御用地にある宮邸)
▽4月11日(火曜)
【秋篠宮・同妃】チャールズ国王の戴冠式参列のため、5月4~7日の日程で英国を訪問することが閣議了解された。夫妻にとって初の英国公式訪問
【紀子妃】総裁を務める恩賜財団母子愛育会が主催する「第55回愛育班員全国大会」の式典に出席(東京都港区の明治記念館)
▽4月13日(木曜)
【秋篠宮】13日付で2025年大阪・関西万博の名誉総裁に就任。開催終了日の25年10月13日まで

宮家

▽4月9日(日曜)
【三笠宮の寬仁親王の信子妃】68歳の誕生日

宮内庁

▽4月7日(金曜)
【皇宮警察】警察庁人事(14日)皇宮警察本部長(官房付)下田隆文▽辞職 皇宮警察本部長松本裕之
▽4月10日(月曜)
▼宮内庁は、5月11日に開催される春の園遊会について、新型コロナウイルスの感染対策として、食事や酒などのアルコール類の提供は控え、ソフトドリンクだけにすると明らかにした

一般

▽4月10日(月曜)
【英王室】英PA通信は9日、チャールズ国王の戴冠式の詳細を報道。王室伝統の馬車「ゴールド・ステート・コーチ」は、国王の意向を反映し、寺院からバッキンガム宮殿への帰り道にのみ利用する。PA通信は国王が背中の痛みに長年悩まされていることとの関連について王室にコメントを求めたが、回答を拒否されたという
▽4月11日(火曜)
▼松野博一官房長官は記者会見で、バングラデシュのハシナ首相が25~28日の日程で来日すると発表。天皇と会見、岸田文雄首相と会談する

¶ 関連サイト

 宮内庁HP

【天皇皇后両陛下のご日程 令和5年(1月~)】
【秋篠宮家の御日程 令和5年(1月~)】

メディア

皇室ウイークリー 産経新聞
皇室7days 朝日新聞DIGITAL

これまでの【皇室の話題】

▽天皇の「お得感」の歴史的な変遷とは(2023年3月31日~4月6日)
▽天皇・皇室についてもやもやした時に考えてみること
▽愛子内親王の結婚報道で迷惑するのは誰か(2023年3月17日~23日)
▽天皇、皇族の行動を決めるのは前例と理念(2023年3月10日~17日)
▽天皇は男系男子でなければだめなのか(2023年3月3日~10日)
▽国際関係での皇室の「お得感」とは(2023年2月24日~3月2日)
▽皇室の存在の「お得感」とは何か(2023年2月17日~23日)
▽皇室の情報発信 何を伝えるのか(2023年2月10日~16日)
▽あるべき姿、役割をどうとらえるのか(2023年2月3日~9日)
▽佳子内親王が願う「幅広い選択肢を持てる社会」(2023年1月27日~2月2日)
▽愛子内親王の和歌に注目集まる(2023年1月20日~26日)