【 JAARAで散歩】未来都市の予感?表参道のIoTスマートゴミ箱「SmaGO(スマゴ)」

         


 
 表参道はファッションでもそれ以外でも時代の最先端に触れることができる場所です。IoTによる「スマート」なごみ箱「SmaGO(スマゴ)」が設置されています。スマゴのデビューは少し前ですが、このごろまた注目を集めているようです。見た目はふつう、見えないところに「スマートさ」があるようです。未来都市への兆しも感じます。
 神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布(JAARA)は歩くだけで楽しい街。目的があれば歩くのがいっそう楽しくなりますね。
※ JAARA(ジャーラ)は[神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布]の街の連なりを指す造語です。

§ たまったら知らせる、自分で圧縮する


 
 スマゴの特徴は
   ■ごみのたまり具合を自分で感知して、自分で知らせる
   ■圧縮できるものは自分で圧縮する
   ■通信と圧縮に使う電力はソーラーパネルで自前でまかなう
 ということです。ということは、
   ■ごみが十分にたまったら回収すればいいので、回収を効率化できる
   ■ごみの量を圧縮するのでさらに効率化できる
 ということは、
   ■回収する車が使う化石燃料を節約でき、二酸化炭素排出量を削減できる
 ということで、経済的で、環境にやさしく利便性の高いスマートなごみ箱だ、ということです。
 さらに言えば、
   ■上部が開いておらずごみを包み込むので散らからず、街がきれいに
   ■足でも開けられるので衛生的
 ということもあると思います。
 
 上部にソーラーパネルがあるようです。
 

 
 緑色や赤のインジケーターが点滅しています。何かを知らせているのでしょう。
 
 
 
 足で開けられるようになっています。
 

§ アメリカの街中、キャンパスで利用

 このごみ箱を開発したのは、アメリカのマサチューセッツ州にある「Bigbelly」という会社です。2003年に創業し、ごみのオペレーティングを扱っています。
 

 
 スマートごみ箱「BigBelly Solar」という製品の日本での販売を、2014年10月にNSW(日本システムウエア)という会社が始めたということです。(2021年からは「フォーステック」という会社が販売している)。
 Bigbelly社のHPによると、製品は全米50州すべて、世界の60 か国以上で導入され、世界中で 70,000 台を超える実績があるそうです。街の公共空間、キャンパス、商業施設での利用を想定しています。
 
 Bigbelly社のHP
 Bigbelly – The World Leader in Smart Waste & Recycling
 
 フォーステック社のHPによると、スマゴは、ニューヨーク、ボストン、バーミンガム、パリ、メルボルンなどの自治体、ハーバード大、マサチューセッツ工科大、南カリフォルニア大、コーネル大などの大学で導入されているそうです。
 
 フォーステック社のHP
 株式会社 FORCETEC[フォーステック]-スマートゴミ箱”SmaGO[スマゴ]”展開
 
 表参道では2020年に導入されました。その後も各地の自治体などが設置し、2023年3月29日からは、横浜駅西口の公開空地「Niigoひろば」(横浜市西区)に、スマゴを設置し、実証実験を始めるとのニュースがありました。

§ ごみが散乱せず、街がきれいに

 海外での導入は自治体が大半のようです。海外では公共の場所にごみ箱が多く設置され、それがあふれて周囲にごみが散乱することが課題になっていました。
 

写真は記事と関係ありません


 その課題の解決に「Bigbelly」がマッチしました。HPでは「風で飛ばない」「足で蹴散らかされない」「ネズミが来ない」などの利点が示され、「街の美しさ、健康、安全、運用持続性、コミュニティのクオリティオブライフが向上します」とうたわれています。
 
 日本では、公共の場所にごみ箱が設置されることが比較的少なく、それほど需要がなかったわけですが、表参道の場合は、通りの美化に関心があったのでしょう。ごみ箱の本体に広告を掲載してコストを賄うプランが実行されたようです。
 
 表参道で運用開始されたスマートゴミ箱「BigBelly」、街のゴミ箱からスマートシティのきっかけに | IoT NEWS

§ スマートシティ ― 未来の世界へ

 先日見たときは、ペットボトルがあふれていました。
 

 
 なかなかスマートに行くのは難しい。
 とはいえ、スマートシティというのでしょうか、未来の都市の在り方を漠然と想像させてくれます。
 ユヴァル・ノア・ハラリさんの本に、列車の車軸がすり減ってきた時、未来の世界ではどのような対応がされるかという話が書いてありました。
 それによると、車軸自身が、自分がすり減っているのを認識し、交換が必要だなと判断し、インターネットを使って替えの車軸の在庫を調べ、交換要員の勤務時間が確保できるかを調べ、交換する場所と時間を指定して手配し、自分と新しい車軸とを交換させる、ということになるそうです。
 必要な対応を人間が判断しなくても、「モノ」が判断するようになるのです。
 いまは、「スマゴ」が自分で判断して自分で指図している、とまでは言えません。でも、近い将来には、そういう世界がくるんだろうなあ、ということを感じさせられます。

§ 表参道のスマゴのまとめ

 Bigbelly社のHPには次のように書いてあります。「2050 年までに世界人口の 70% 以上が都市に住むことになり、今後 10 年間で世界の廃棄物発生量は 50% 近く増加すると予想されています」。ごみの問題はこれからも注目されるでしょう。ごみと未来都市、その両方を考えさせる「スマゴ」なのでした。きょうもいい一日になりそうです。
 
【 JAARAで散歩】これまでの「神宮前で散歩」
▽原宿・表参道の歴史と広がりをたずねて 神宮前交差点へ
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