東京ミッドタウンの入口に大きなモニュメントがあります。開いている穴に子どもたちがまたがったり抱きついたりしています。イタリア在住の彫刻家安田侃(やすだ・かん)さんの作品です。別の作品が、建物の地下、「無印良品」の前のスペースにあります。安田さんは「人の心が落ち着く場所としての彫刻」をつくっているのだと思います。
神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布(JAARA)は歩くだけで楽しい街。目的があれば歩くのがいっそう楽しくなりますね。
※ JAARA(ジャーラ)は[神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布]の街の連なりを指す造語です。
§ 心は形を求める
最初に気になったのは、無印良品の前の作品でした。白大理石でできています。
タイトルが「意心帰 “Ishinki”」です。「意心帰」とはなんだろうか。同じ「意心帰」という作品が丸の内の東京国際フォーラムにあります。高輪のマンションにもあるそうです。
そのマンションの作品に関連して、「意心帰」について安田さんが語っている文章があります。
その中に次のように書かれています。
―作品名の「意心帰」とはどういう意味でしょうか。
「これは私の造語ですが、一言でいえば「形は心を求め、心は形を求める」ということです」
心ははっきりした形がないので、それを形に定着したい。一方で、形だけがあっても、作る人、見る人の心がないとその形は形たり得ない。ということなのだと思います。
■彫刻家/安田 侃 意心帰 Brillia 高輪 REFIR|ART WORKS with Brillia|Brillia Art/東京建物
§ 同じ形でも見え方が違う
形は心に拠るので、そのときどきの心の持ちようで見え方も変わってきます。あるいは見えないかもしれません。
無印良品前の「意心帰」は地下にありますが、天井から自然光が入ってくるので、天気によって見え方が違ってきます。
地上の作品のタイトルは「妙夢 “Key to a Dream”」です。
こちらはブロンズ製。地上の作品と地下の作品が、ほぼ同じ位置の上下に配置され呼応しています。そして、ブロンズと大理石、黒と白という対比になっています。
「妙夢」は屋外にあるので、日によって、時間によって、さまざまに見えることでしょう。
§ 大理石の産地で創作活動
安田さんは1945年北海道美唄市生まれ。1970年にイタリアへ渡りました。大理石の産地として知られるトスカーナのピエトラサンタにアトリエを構え、大理石とブロンズによる彫刻の創作活動を始めたとのことです。
このページを開くと出てくる姉さんかぶりの安田さんがカッコいい。
イタリア、イギリス、オーストラリアなどいろいろな所に作品があるようです。
次の動画では安田さんが作品について語っています。
■彫刻家 安田侃 -KAN YASUDA sculpture-
■彫刻家・安田侃について | 安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄
■Search Result 安田侃 | @ART
§ 安田侃さんの「意心帰」のまとめ
心は形を求め、形は心を求める。普遍的に通じる考え方だなあと思いました。その形が、変わらないはずの形が、日によって、時によって、心の状態によって変わる。それもあるなあ、と思いました。きょうもいい一日になりそうです。
【 JAARAで散歩】六本木で散歩
▽芸術としてのベンチとベンチとしての芸術 六本木・けやき坂へパブリックアートを見に行く
▽若手アーティストの壁画を見に 六本木へ
▽ビルの谷間の神域 六本木・麻布でタイムスリップする
▽大画面の壁画の迫力 赤坂・六本木の地下鉄駅へ
▽雨に消える透明な椅子 六本木・けやき坂のパブリックアート
▽冬のイルミネーション さまざまなシーンを見に 赤坂・六本木へ
▽デザイン・アートの街にアートを見つけに 六本木交差点へ
▽ロアビルの囲いの壁面に現れた「kawaii」を見に六本木へ
【 JAARAで食べ飲み】六本木・西麻布で食べ飲み
▽点心を心おきなく 六本木の『歩高里(ブルゴーニュ)』さんへ
▽オーガニックワインと十割蕎麦 六本木の『莉々庵』さんへ
▽食事メインでお酒もお手頃 六本木の『蕎麦六本』さんへ
▽おいしい上質の焼き鳥を食べに 西麻布の『一歩』さんへ
▽六本木の気楽な居酒屋さん 『松ちゃん』へ
▽西麻布の味わい深い焼き肉屋『胡同』さんへ