2020東京五輪の聖火リレートーチをデザインしたアーティストの吉岡徳仁さんが、今度はSAGA2024国民スポーツ大会のトーチをデザインしました。ガラスのトーチは世界的にも初めてでしょう。巨大なガラスの集光レンズと共に、東京ミッドタウンの美術館で展覧されています。2023年11月5日まで。行って見ましょう。(20239.19)
神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布(JAARA)は歩くだけで楽しい街。目的があれば歩くのがいっそう楽しくなりますね。
※ JAARA(ジャーラ)は[神宮前―青山―赤坂―六本木―麻布]の街の連なりを指す造語です。
§ ガラスのトーチで炎のアート
「吉岡徳仁 FLAME ガラスのトーチとモニュメント」は東京ミッドタウンの美術館「21_21 DESIGN SIGHT」のギャラリー3で開催されています。
■21_21 DESIGN SIGHT | 吉岡徳仁 FLAME ガラスのトーチとモニュメント | 吉岡徳仁 FLAME ガラスのトーチとモニュメント
入るとすぐにあるのがガラスのトーチです
全部ガラスです。火とガラスだけのトーチ。想像するときれいです。
柄もガラスですが、持っても大丈夫なようです。
会場には、このトーチができるまでの試作品も展示されていました。
試作品の形もさることながら、下にできる影が面白い。
奥へ進むと「採火のためのレンズ(Lens for Fire Extraction)」があります。巨大なレンズ。これで太陽の光を集光します。
大きな凸レンズで光を集めます。オリンピックの聖火の場合はこれとは逆で、凹面鏡です。
オリンピックの火は「聖火」。ギリシアの神話に基づくので「聖」火ですが、国民スポーツ大会は「炬火(きょか)」です。「炬」は「かがげる火」。たいまつやかがり火のことをいうようです。
採火器は、下の台に穴が開いていて、採火する時はレンズの下に穴から何かを差し出すのでしょう。会場では、実際に手を入れている人がたくさんいました。上は天井なので、やけどの心配はありません(笑)
炬火台に点火するときの衣装「炎のセレモニーのための衣服(Clothing for the Flame Ceremony)」もありました。
三宅デザイン事務所の制作です。プリーツがあります。着用すると立体的なるようです。こうなります。
特別な縫製がされているようです。
§ 巨大なガラスの釜
建物の外には「ガラスの炬火台(Glass Cauldron)」がありました。
ガラスだけでできている世界初の炬火台です。「Cauldron」は辞書を引くと「大釜」となっています。ガラスの大釜です。
実際に火がついたらどうなるのでしょう。ガラスに浮かぶ炎を見てみたい。10月の7日(土)と28日(土)に点灯イベントが予定されているようです。
■https://saga2024.com/news/archives/318
■吉岡徳仁が生み出す「炎の彫刻」。新作となるガラスのトーチと炬火台が初披露|美術手帖
§ 水のようなガラス
建物の外には「ウォーターブロック(Water Block)」もありました。
水の塊を造形したガラスのベンチです。2011年からパリのオルセー美術館の印象派ギャラリーで、ルノワール、セザンヌ、モネなどの作品とともに常設展示されているとのことです。
ガラスのしっかりした質感があります。それでいて、水のようでもあります。
吉岡徳仁さんの作品は、六本木ヒルズの「けやき坂」に「雨に消える椅子」があります。以前の記事でご紹介しました。
■▽雨に消える透明な椅子 六本木・けやき坂のパブリックアート
大きな天体望遠鏡用のレンズをつくる素材を原料に、特殊な技術によって実現したガラスの塊でできているそうです。透明な存在感があります。「ウォーターブロック」も同じ材質なのではないでしょうか。
§ 吉岡徳仁さんの展覧会のまとめ
とても斬新なトーチと炬火台です。「国民体育大会(国体)」は2018年に法律が改正され、2024年の佐賀大会から、名称が「国民スポーツ大会」に変わります。トーチ、炬火台も新たな歴史のスタートを感じさせます。会期は2024年の10月5日~15日。事前のトーチリレー、開催中の競技場の炬火がどのようになるか、想像するとわくわくしますね。きょうもいい一日になりそうです。
吉岡徳仁 FLAME
ガラスのトーチとモニュメント
会期 2023年9月14日(木)- 11月5日(日)
会場 21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3
休館日 火曜日
開館時間 10:00 – 19:00(最終入場18:50)
入場料 無料
主催 TOKUJIN YOSHIOKA + TYD
特別協力 株式会社 三宅デザイン事務所、株式会社イッセイ ミヤケ
後援 SAGA2024実行委員会
■21_21 DESIGN SIGHT | 吉岡徳仁 FLAME ガラスのトーチとモニュメント | 吉岡徳仁 FLAME ガラスのトーチとモニュメント
【 JAARAで散歩】六本木で散歩
▽芸術としてのベンチとベンチとしての芸術 六本木・けやき坂へパブリックアートを見に行く
▽若手アーティストの壁画を見に 六本木へ
▽ビルの谷間の神域 六本木・麻布でタイムスリップする
▽大画面の壁画の迫力 赤坂・六本木の地下鉄駅へ
▽冬のイルミネーション さまざまなシーンを見に 赤坂・六本木へ
▽デザイン・アートの街にアートを見つけに 六本木交差点へ
▽ロアビルの囲いの壁面に現れた「kawaii」を見に六本木へ