赤信号にぶつかってがっかりしたときは「人名づくし」をやってみる 【歩き方】 単身赴任実録(6)

         

 出先に向かう時、出先から職場に戻る時、横断歩道で赤信号にぶつかって待つことになると、がっかりします。「ああ、時間がもったいない」。そんなときは、知っている人の名前と顔を思い浮かべる「人名づくし」をやって、ひまをつぶしながら頭を活性化させます。例えば「タナカ」なら「タナカ」という名前の人、自分の知っている「タナカ」さんを次から次へと思い出していくのです。

§ 頭の中で完結できる

 信号待ちでまずやるのは、渡った後の行動の確認です。あの角をこう曲がって、地下鉄のホームに降りたら3両目あたりから電車に乗って……職場へ戻る前に近くのコンピにによって……。それはもう大丈夫という時に「人名づくし」です。
 
 スマホで情報収集するのも良いのですが、信号が変わるのにいち早く気付きたいし、そのあと人にぶつからないように歩く必要があるので、頭の中で完結できる時間つぶしをします。

§ 名前と同時に顔も思い浮かべる

 思い出す名前は適当に決めます。たとえば「タナカ」にします。最初は仕事仲間から始めます。先輩の「タナカ・ハジメ」さんがいたな。今なにやっているのかな。それと、若手のあいつがいたな、顔は思い浮かぶんだが下の名前が出てこない。ま、いいや。それと、ずいぶん前に仕事を変えた「タナカ・ノリコ」がいたな。ちょっと変わった字だったな。雑誌に載ったりしてたけど、このごろ出てこないな。連絡してみるか……。
 
 仕事関係が出尽くしたら同級生に行きます。タナカといえば高校の時に「タナカ・ヨシユキ」がいたな。近くのファミレスに行ったら一人でしこしこ勉強してやがったな。額が広いやつだったな……。
 
 有名人にも行きます。キャンディーズのスーちゃんは「田中好子」だったかな。「田中一郎」は甲斐バンドだな。
 
 さらに広げて。「田中二郎」は行政法だな。「田中義一」って総理大臣は昭和天皇に怒られたんだっけ……。

§ 人生の蓄積と興味の広がり

 思い出す名前は、自分が会ったことがある人か、どこかで聞いたことがある人ばかりです。なので、自分の人生の来し方と興味の広がりを再認識することになります。同時に、その延長線上を考えることにつながります。
 
 人は、ある状況に遭遇すると自分の持っている記憶(DB)の中から関連するものを引っ張り出して準備します。これを無意識に行っているようです。この引っ張り出す作業を意識的に行うのです。ひまをつぶしながら行うわけです。