週刊誌は「小室さん」と「秋篠宮家」の話題を引き続き載せている。これまでの〝眞子さん結婚問題〟の背景にあるのは「皇室は立派でなくてはならない」という大方の国民の考え方だ。皇室の果たす役割とは何か、皇室はどのようにあるべきなのか、考え方の違いによって〝眞子さん結婚問題〟のとらえ方も変わってくる。
皇室の姿の重層性
2月9日、福井県坂井市の魚問屋で、県特産の「越前ガニ」を天皇、皇后や皇族に献上するために釜ゆでにする作業が行われた。県主催の毎年恒例の行事という。地元では、極上クラスのカニであることを「皇室献上級」と称したりするようだ。この「献上」という言葉を見て、皇室の現在の立ち位置について考えた。
皇室と国民に上下はあるのか
「献上」を広辞苑で見ると、「さしあげる」「たてまつる」とある。人から人へ物が移るとき、「贈る」といえば発出する側と受け取る側の関係は多様だが、「献上」といえば、発出する側が「下」で、受け取る側が「上」である。
「献上ガニ」の場合、魚問屋さん、県主催というから福井県の人の側が「下」であり、皇室の側が「上」であることが想定されている。それが大方の当たり前の感覚で、気に留める筆者のような感覚はまれなのであろう。
日本国憲法は、皇室と国民の間の上下を定めていない。いうまでもなく天皇は「日本国および日本国民統合の象徴」という地位にあり、その地位が「世襲」というやりかたで入れ替わると規定しているだけだ。
ふたつの規範が併存
皇室は国民と上下の関係にないとする「皇室観」(憲法)と、上下を想定する「皇室観」(社会の大方の考え方)という二つの皇室観が併存している。重なっている。
この重層性は「皇室観」にとどまらない。規範(守るべきルール)にもおよぶ。法律(憲法)は天皇を象徴としてうえで、皇室は国民と違って特殊な立場だから、別のルールが適用されると定めているだけだ(法律によるルール、法規範)。一方、「皇室は国民より上」という皇室観・社会の考え方は、「皇室は国民より上なのだから、国民は皇室を敬わなければならない」という「社会規範」をつくる。皇室に敬語を使わないと「失礼なやつ、常識のないやつ」とみなされる。上下があると考えるか否かで、ふたつの規範が併存している。
皇室が守るべき規範にもなる
同時に、「皇室は国民より上」という考え方は、「皇室は国民より上なのだから、皇室は立派でなくてはならない」という皇室が守るべき規範(ルール)もつくる。
これに抵触してしまったのが、小室さん母子だった。小室さんのケースは「借金踏み倒し」のようなイメージがあるので、「立派である」こととは少し別の問題ともいえる。そうだとしても、その基盤には、「皇室は立派でなくてはならない」という社会の考え方があったのだと思う。
同時に、皇室自身が「立派であろう」としてきてもいる。立派であることにより、国民の信頼を敬愛を勝ち取り、社会の中での皇室の存在を認知してもらいたいと考えるからだ。
ふさわしい「皇室観」をどこに置くか
だが、皇室が立派すぎると、「皇室は国民の上であり立派なのだから、皇室を敬わなければならない」という規範が過度に強まりかねない。そうなると、皇室について自由に意見を言うことができなくなったり、あるいは、不利益をこうむったり、いやな思いをしたりする人が出てこないとも限らない。それは社会にとっての不幸だ。
現行の憲法が施行されてだいぶん時間も経過した。「皇室観」も世代によって変わってきている。どのように皇室をとらえるのか(皇室観を持つのか)、どこらへんに考え方の中心を置くのが適切なのか(ふさわしいのか)。それが大切になってくる。
§ 雑誌の主な見出し
『女性自身』 2023年2月21日号:2月7日発売
■小室圭さん[31] 勤務先と[待遇]要求バトル「もっと愛妻休日を」
■100万円賄賂訴訟が急浮上 秋篠宮家「金銭トラブル」頻発中!
『週刊女性』 2023年2月21日号:2月7日発売
■眞子さん[31]驚愕 小室圭さん[31]過酷[24時間労働]ノルマで「脱落」危機
『女性セブン』 2023年2月23日号:2月9日発売
■雅子さま(59)ご静養へ「上皇后美智子さま(88)に秘めた思い」
§ 日誌
天皇 皇后 愛子内親王
▽2月7日(火曜)
【天皇】来日したノルウェー議会のガラカーニ議長と会見(皇居・御所)
▽2月9日(木曜)
【天皇・皇后】天皇、皇后はフィリピンのマルコス大統領夫妻と会見(皇居・御所)
【天皇・皇后】トルコで発生した大地震を受け、天皇が皇后と共にエルドアン大統領へお見舞いの電報を送ったと宮内庁が発表
秋篠宮家
▽2月3日(金曜)
【紀子妃】第68回青少年読書感想文全国コンクール表彰式に出席(東京都千代田区の経団連会館)
▽2月7日(火曜)
【秋篠宮・紀子妃】若手研究者を対象とする日本学術振興会賞と日本学士院学術奨励賞の授賞式に出席(東京・上野の日本学士院会館)
各宮家
▽2月8日(水曜)
【高円宮の久子妃】「世界らん展」の開会式に出席(文京区の東京ドームシティ)
一般
▽2月8日(水曜)
【英王室】英郵便事業を運営するロイヤル・メールは8日、故エリザベス女王の死去に伴い昨年9月に即位したチャールズ国王の肖像が描かれた新しい切手のデザインを公表した
宮内庁HP【天皇皇后両陛下のご日程 令和5年(1月~)】
宮内庁HP【秋篠宮家の御日程 令和5年(1月~)】
皇室ウイークリー 産経新聞
皇室7days 朝日新聞DIGITAL
これまでの【皇室の話題】
▽皇室の生きづらさとは(2023年4月7日~13日)
▽天皇の「お得感」の歴史的な変遷とは(2023年3月31日~4月6日)
▽天皇・皇室についてもやもやした時に考えてみること
▽愛子内親王の結婚報道で迷惑するのは誰か(2023年3月17日~23日)
▽天皇、皇族の行動を決めるのは前例と理念(2023年3月10日~17日)
▽天皇は男系男子でなければだめなのか(2023年3月3日~10日)
▽国際関係での皇室の「お得感」とは(2023年2月24日~3月2日)
▽皇室の存在の「お得感」とは何か(2023年2月17日~23日)
▽皇室の情報発信 何を伝えるのか(2023年2月10日~16日)
▽佳子内親王が願う「幅広い選択肢を持てる社会」(2023年1月27日~2月2日)
▽愛子内親王の和歌に注目集まる(2023年1月20日~26日)