天皇と愛子内親王が雅楽を鑑賞した。雅楽は、舞曲の始原が中国大陸や朝鮮半島にあるとしても日本の伝統文化といっていいだろう。雅楽に限らず、皇室は日本の伝統文化の継承の一端を担っている。そこが皇室の権威の源泉にもなっている。伝統文化を大切にしながら、現代に生きる私たちの幸せを願いながら、皇室の在り方を考えたい。
¶ 皇室は伝統文化継承の一端を担う
皇室は日本の伝統文化の継承の一端を担っている。宮内庁HPには「皇室に伝わる文化」というコーナーがあり、そこには、講書始、歌会始、雅楽、蹴鞠、古式馬術(打鞠・母衣引)、鴨場、御料鵜飼などが挙げられている。皇室の活動を見れば、普段でも、儀式の時も、そこにで使われる建物、調度、什器などに伝統文化が息づいているだろう。皇室は文化的に重要な存在だ。
皇室に伝わる文化|宮内庁HP
§ オーソドキシーを形成
和歌や雅楽、馬術は日本の伝統文化で、それに皇室が関わっている。
現在、皇室が継承している形には、明治時代の再編が大きく反映されていると思う。歌会始の儀に一般の国民が参加するようになったのは明治以降だ。
文化はさまざまなところで継承されている。
歌会始での独特の節回しによる和歌の披講は皇室以外でも行われている。雅楽も、神前結婚式で「越天楽」が演奏されるように、皇室以外でも行われている。古式馬術にもいろいろな流派があると思う。
明治の時代に皇室がそれらを継承する姿勢を明らかにし、オーソドキシー的なものが形成されたことは、伝統の継承の取り組みを促進した面があると思う。(明治の皇室制度が文化の継承を阻害した面があることを指摘する人がいることを付言する)
§ 世代をわたる継承のシステム
皇位継承儀式は日本文化の継承に関わっている。
伊勢神宮の式年遷宮は、20年ごとに社殿を造営することで、それにかかわる技術を、世代を超えて引き継がせているのだと思う。
皇位継承儀式も同様で、例えば「高御座」であれば、その修復、調えに関係する職種は数十に上ると思われる。代替わりは決まった年限ごとに来るわけではないが、世代を超えて伝統技術、すなわち文化を継承する機会になるだろう。
§ 文化と門地とを分けて考えたい
文化の担い手が権威を持つ存在になることはよくある。天皇、皇室はそれの際たるものになり得る。日本の伝統文化は素晴らしい。大切に継承されて行ってほしい。ただ、文化と、皇室という門地とは分けて考えたい。
皇室には文化の担い手として、他の文化の担い手と同様に敬意を表したい。ただ、皇室に無条件の敬意を表するように強いられたくはない。
(2023.6.3 皇室王室勉強家・以出江 凡)
¶ 日誌
天皇 皇后 愛子内親王
▽5月28日(日曜)
【天皇・愛子内親王】宮内庁楽部による春季雅楽演奏会を鑑賞(皇居・楽部)
▽5月30日(火曜)
【天皇・皇后・愛子内親王】即位5年と結婚30年を記念する特別展「新しい時代とともに―天皇皇后両陛下の歩み」を鑑賞(東京都中央区の日本橋高島屋)
https://news.ntv.co.jp/category/society/1f5b907f25df4c6d8b048a41e370eefb
【皇后】蚕に餌の桑の葉を与える「給桑」(皇居・紅葉山御養蚕所)
皇后さま、蚕に餌やり | Reuters
秋篠宮家
▽5月29日(月曜)
【秋篠宮】総裁を務める日本植物園協会の大会に出席(高知市)
【佳子内親王】第2次大戦中に海外などで亡くなった身元不明の戦没者を慰霊する厚生労働省主催の拝礼式に参列(東京都千代田区の千鳥ケ淵戦没者墓苑)
▽5月30日(火曜)
【秋篠宮】日本の植物分類学の基礎を築いた植物学者・牧野富太郎にゆかりがある高知県立牧野植物園を視察(高知市)
秋篠宮さま 「県立牧野植物園」を視察 高知市|NHK 高知県のニュース
宮家
▽5月28日(日曜)
【高円宮の久子妃】ヨルダンのフセイン皇太子の結婚式に参列するため羽田空港から民間機で出発。結婚式は6月1日。参列の長女承子女王は29日に出発しいずれも3日に帰国予定
▽5月29日(月曜)
【高円宮の久子妃】名誉総裁を務める環境保護団体「バードライフ・インターナショナル」の創立100周年記念祝賀会などに出席のため6月19~27日の日程でフィンランドと英国を訪問すると宮内庁が発表
¶ ウェブサイト記事
ヘンリー王子、王室離脱前のインタビューが発掘される「王室から離れたかった」「国王になりたい人はいない」 | カルチャー | ELLE [エル デジタル]
¶ 関連サイト
宮内庁HP
【天皇皇后両陛下のご日程 令和5年(4月~)】
【秋篠宮家の御日程 令和5年(4月~)】
メディア
皇室ウイークリー 産経新聞
皇室7days 朝日新聞DIGITAL
これまでの【皇室の話題】
これまでの【皇室の話題】
▽天皇の存在を国民に印象付ける活動の場面とは何か(2023年5月19日~25日)
▽上皇、上皇后が皇室に存在する意味とは(2023年5月12日~18日)
▽英国と日本、神さまと王権との関係の違いは(2023年5月5日~11日)
▽天皇・皇族を縛る〝掟(おきて)〟とは(2023年4月28日~5月4日)
▽雅子皇后の苦悩とは何か、どこから来るのか(2023年4月21日~27日)
▽短期と長期 どちらがほんとの「お得」なの?(2023年4月14日~20日)
▽皇室の生きづらさとは(2023年4月7日~13日)
▽天皇の「お得感」の歴史的な変遷とは(2023年3月31日~4月6日)
▽天皇・皇室についてもやもやした時に考えてみること(2023年3月24日~30日)
▽愛子内親王の結婚報道で迷惑するのは誰か(2023年3月17日~23日)
▽天皇、皇族の行動を決めるのは前例と理念(2023年3月10日~17日)
▽天皇は男系男子でなければだめなのか(2023年3月3日~10日)
▽国際関係での皇室の「お得感」とは(2023年2月24日~3月2日)
▽皇室の存在の「お得感」とは何か(2023年2月17日~23日)
▽皇室の情報発信 何を伝えるのか(2023年2月10日~16日)
▽あるべき姿、役割をどうとらえるのか(2023年2月3日~9日)
▽佳子内親王が願う「幅広い選択肢を持てる社会」(2023年1月27日~2月2日)